あなたなら、どちらの側に正義があると考えるか。6日付英紙フィナンシャル・タイムズから抜粋。

  • パキスタン軍の幕僚長であるカヤニ将軍は5日、ビンラディン殺害後初めて指揮官たちと会合し、こう述べた。「今後、今回のようにパキスタンの国家主権を侵害する何らかの行動がとられた場合、パキスタンは軍事・諜報分野における米国との協力関係を再検討する正当性を有する」。

  • 米のビンラディン殺害作戦によって、パキスタン軍には他国の軍隊が自国内に深く侵入するのを防ぐ能力がないことが白日の下にさらされた。地政学的に世界で最も重要な関係の一つである米パ関係に新たな緊張が生まれた。カヤニ将軍の声明は、米国の一方的な作戦に対するパキスタン軍の怒りを表したものだが、同時に、自国の主権を守れなかったことを糾弾する、国内の根深い反米勢力をなだめる狙いもあると見られる。

  • 米国防総省の高官は、ビンラディンの潜伏場所をパキスタン政府が知っていたかどうかについて確たる証拠はないと述べた。だがゲイツ国防長官の副官は、「パキスタンは本気でアルカイダを掃討する気があるなら、それを納得のいく形で証明しなければならない」と語っている。

アメリカがパキスタンに知らせず実行したビンラディン急襲は、正義か主権侵害か、それとも、その両方か? たとえば、自衛隊の特殊部隊が北朝鮮国内に侵入して金正日総書記を日本に連行し、日本人の拉致を指揮した罪で裁判にかけることは、国際正義にかなうと弊誌は考える。だがそれをやれば、北朝鮮や日本国内の一部勢力は「北朝鮮の国家主権の侵害だ」と騒ぎたてるだろう。

幸福の科学の大川隆法総裁は最近の説法で何度か、「正義とは何か」の判断が難しい時代になっていると述べている。ひとつ言えるのは、ある時点で正義か否かの判定が難しいことも、時間が経って結果がよければ正義と見なされるのが歴史の常だということ。ビンラディン殺害によって世界が安定に向かうか、逆に新たな火種が起きるか。時間的にも空間的にも広い視野のなかで見極めていかねばならない。(司)

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【5月6日分ニュースクリップ一覧】
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米のビンラディン殺害はパキスタンの主権侵害か
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