東日本大震災から1カ月強。原発事故などにより、電力の供給が大幅にダウンしてから、関東や東北では、すっかり「節電」や「自粛」は日常のものとなった。

しかし、最近では、自粛を超えて、「文明の否定」や「成長の否定」を訴える論調も目立つ。

産経新聞では、節電で暗くなった東京の夜を肯定的にとらえ、「東京の夜は明るすぎた」と題する記事をネットで配信。「まちの暗さを受容する感性はさらに歓迎されていいはずだ」と主張する。

復興構想会議の特別顧問に就任した哲学者の梅原猛氏は、「(今回の震災は)文明災だと思う。原発が人間の生活を豊かにし、便利にする。その文明がいま裁かれている」(15日付朝日新聞)と文明を否定。

歴史家の川北稔氏は、これまでの「経済成長を前提にした時代」を「成長パラノイア」と呼び、今回の大地震で、日本の科学技術は「巨大な津波に負けてしまった」と論じる。そして、「『経済は常に成長するべきだ』という考え方を後退させないと折り合いがつきません」と訴える(7日付朝日新聞)。

まるで日本人はバベルの塔に登ってしまったために神の裁きを受けたと言わんばかりの主張だが、そこまで言うなら、電気のない自然生活を自ら実践してみせるべきだろう。

しかし、大川隆法・幸福の科学グループ創始者兼総裁が、「『自然災害と人間の智慧とが戦ってきた歴史』が文明の歴史であった」と指摘するように(『震災復興への道』)、文明や成長の否定は、これまでの数千年にわたる人類の努力の過程をまるごと否定することになりかねない。

さらなる努力と、一層の研鑽によって、もう一段技術を進歩させることができれば、津波の被害を減らすことはできるし、地震の予知の精度も上げられる。空に飛行機が飛び、海に潜水艦が潜り、人類が月に降り立ったという過去の実績を見れば、不可能を可能する力を人間が持っていることが分かる。

過剰自粛や成長への諦めは、日本人を“貧乏神に取り憑かれた負け犬”へと変えてしまう。そんなネガティブ・マインドの蔓延こそ、震災のもたらした最大の被害なのかもしれない。(村)

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