8日付の朝日、毎日、産経は、中国人の有名建築家アイ・ウェイウェイ(艾未未)氏が「経済犯罪で捜査中」(中国公安当局の表現)とされているのが、実は言論弾圧目的の可能性があると伝えている。一方、国際人権団体「Human Rights Watch」のニコラ・ベクラン氏は8日付インターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙で、日本の新聞よりはるかに鋭い口調で中国の言論弾圧を批判している。以下、ポイント抜粋。

・  中国政府は今、過去10年間で最大の言論弾圧を行っている。アイ・ウェイウェイ氏の逮捕で、世界中がようやくそのことに気づいた。

・  中国当局は「グローバルな価値観(global values)」(=人権、法治主義、表現の自由)を唱導する中国人全員に捜査の網を投げかけている。Human Rights Watchはここ6週間で、中国全土の拘束事件を100件以上記録している。例えば2月中旬には人権擁護派の弁護士8人が逮捕され、その後彼らについての情報はない。

・  この重大局面にあっては、国際社会の上げる声が決定的に重要(crucial)だ。中国政府は国際社会の反応を見て動きを決めるからである。今回、中国がアイ氏ほどの高名な人物に逮捕の手を伸ばしたのは、過去数週間の言論弾圧に対して国際社会が沈黙していたため、大丈夫だと踏んだのだろう。

・  国際社会が北京に向けて、こんなやり方は違法であり受け入れられないとの明白なメッセージを発しても、今回の新たな弾圧が止むとは限らない。だが、勇気を出して声を上げなければ、弾圧を後押しするに等しい。

何も言わなければ認めたことになるのが国際社会の現実である。昨年の尖閣事件のように日本の身に及んだ事件でなくても、日本の心ある人々は中国の人権侵害的な動きに対してノーを言うべきだ。本サイトも、人権や言論の自由に対する弾圧をやめるよう中国政府に求めるものである。(司)

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