エジプト革命に関する日本の報道は選挙や憲法制定の話題が中心となっているが、28日付インターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙は、軍に拘束されて人権侵害的な扱いを受けた女性活動家の談話を載せている。

20歳の独身女性グーダさんは、今年初めからカイロのタヒール広場のテントに寝泊りし、民主化運動に身を投じてきた。民主化勢力は当初「軍と民衆は一体だ」とのスローガンを掲げてムバラク政権打倒を唱えたが、やがて軍は混乱を治めるため広場のテントを排除、グーダさんら190人以上を拘束した。拘束後、女性たちはカメラの前に並んで撮影され、売春容疑がかけられている旨を言い渡された。グーダさんは気丈な女性だが、この話をするときだけは泣き崩れたという。「彼らは、女性を一番傷つけるには売春容疑で告発すればいいと知ってるんです」。

数日後グーダさんらは軍の刑務所へ移送され、裸にされて身体検査をされた。さらに、未婚女性は男性兵士の手で「処女性検査」(virginity exam)をされた。せめて女性兵士の手でやってほしいと彼女たちが懇願すると、こん棒で脅された。ある人権監視活動家によれば、これは女性活動家の自尊心を打ち砕くための方法なのだという。

記事はこう結ばれている。「祝祭的な気分が終わり、テレビが映さなくなってからも、革命の長く険しい道のりは続く。自由はタダでは手に入らない(Freedom isn’t for free.)」。日本の新聞には載りにくいアラブ革命の実態について、引き続き注視していきたい。(司)

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