国際政治学者
佐久間 拓真
(ペンネーム)
国際政治の中でも特に米中関係、インド太平洋の安全保障、中国情勢を専門にし、この分野で講演や執筆活動、現地調査などを行う。
南米における中国の経済的影響力を考えるうえで、チリは重要なケースである。中国はチリにとって最大の貿易相手国となっており、2025年には中国がチリの財貿易全体の約3分の1、輸出の4割弱を占めた。特にチリは銅やリチウムなどの鉱物資源を中国市場に輸出する一方、中国からは消費財や資本財などを大量に輸入している。2026年上半期になっても、中国はチリの最大の貿易相手国であり、輸出先としても3分の1強を占めている。
問題は、こうした関係が単なる貿易関係にとどまらないことである。中国企業はチリ国内の鉱業、エネルギー、インフラなど、国家経済の基盤となる分野へ進出している。中国による投資は鉱業だけではなく、電力などの基幹インフラにも及んでおり、中国企業の存在感はチリ経済の幅広い領域で高まっている。
電力とリチウムに広がる中国企業の影響力
その象徴が電力分野である。中国の国有企業である国家電網は2020年、チリの電力会社Chilquinta Energiaを買収し、その後、CGEも取得した。これにより中国の国有企業がチリの配電事業において大きな存在感を持つようになった。電力は単なる一産業ではなく、国民生活や企業活動を支える基幹インフラであるだけに、中国企業による影響力の拡大は経済安全保障の観点からも注視すべき問題である。






















