国際政治学者
佐久間 拓真
(ペンネーム)
国際政治の中でも特に米中関係、インド太平洋の安全保障、中国情勢を専門にし、この分野で講演や執筆活動、現地調査などを行う。
東南アジアの小国、ブルネイ・ダルサラーム国は、長年にわたり豊富な石油と天然ガスに依存した国家運営を行ってきた。人口が少なく、国民は手厚い福祉や非課税の恩恵を享受してきた一方で、産業の多角化が遅れるという構造的な課題を抱えている。
この脆弱な経済基盤につけ込む形で、近年、中国は巨額の投資を武器に急速な接近を図っている。表面的には「一帯一路」構想を通じた協力関係の強化に見えるこの動きは、実態として国家主権や経済的自立を脅かす「経済的侵略」の典型例として、国際社会から厳しい視線が注がれている。
中国資本にのみ込まれる巨大製油・石油化学コンプレックス
ブルネイにおける中国の影響力拡大の象徴が、中国の浙江恒逸石化による巨大製油・石油化学コンプレックスの建設である。ムアラ島に建設されたこの施設は、ブルネイにとって石油依存からの脱却と経済多角化の切り札と位置づけられたが、その実態は中国の巨大資本と戦略的思惑によって深く組み込まれている。























