映画ファンの皆様、いい映画、楽しんでいますか。
ミュージカル・ファンタジー映画『ウィキッド ふたりの魔女』(2024年)と、その続編で今年3月に日本公開された『ウィキッド 永遠の約束』の世界的ヒットを機に、ミュージカルの話題や論評が増えています。名画座リバティにもリクエストをいただきましたので、今回と次回に分けてミュージカル映画の楽しみと、おすすめ作品を何本かご紹介したいと思います。
ミュージカルは、夢中になるほど好きな方も多い反面、苦手な方も一定数いるようです。苦手な方がよく口にするのが、タモリの持論としても知られる「普通に演技をしていたのに、いきなり歌い出すのが不自然」ということです。しかし仏法真理的に見ると、その不自然さにこそミュージカル映画の二つの魅力が潜んでいます。前編ではその一つ目を取り上げます。
いきなり歌い出す不自然さとは、言葉を換えれば「論理的でない」ということでしょう。確かにミュージカル映画は、台詞による演技というリアリズム(現実性)に、歌やダンスの場面が説明もなく接続され、そこに論理的必然性はありません。実はこの「論理的でない」ということは、この世を超えた真実の世界である霊界の特徴なのです。大川隆法・幸福の科学総裁の著書『信仰のすすめ』にはこうあります。
「霊界は、まったく論理的ではない世界なのです。(中略)どちらかというと、学術書よりも小説の世界、フィクションの世界に近いのです。(中略)小説は論理的には書かれていません。登場人物がさまざまに絡み合って、いろいろなドラマが行き当たりばったりのような感じで起きてきます。霊界は、それとよく似ているのです」
そうした脈絡のない場面の移り変わりを、私たちは小説や映画などのフィクション以外でも体験することがあります。夜に寝て見る「夢」の世界です。夢は、睡眠中に魂が体を抜け出して霊界に行っている場合があります(大川隆法『繁栄の法』第2章参照)。つまりミュージカル映画は、非論理性が強いという点で、夢=霊界体験によく似た映画ジャンルなのです。その独特の楽しさは、私たちの魂の故郷である霊界の自由さを思い出させてくれるからかもしれませんね。
そんな気持ちでミュージカル映画を観れば、生まれる前に天国にいた時の自由な夢見る自分にもっと近づけそうです。夢のあるミュージカル映画はアニメも含めてたくさんありますが、前編では映画史に残る20世紀の実写ファンタジーを2本ご紹介します。
『オズの魔法使』
- 【スタッフ】
- 監督:ヴィクター・フレミング
- 【キャスト】
- 出演:ジュディ・ガーランドほか
- 【その他】
- 1939年制作 | アメリカ | 101分
(あらすじ)
カンザスの田舎に住む少女ドロシーは竜巻に襲われて気を失い、魔法の国オズに運ばれてしまう。カンザスに戻してもらうためオズの魔法使いに会う旅を始めた彼女は、知恵がほしい案山子(かかし)、心がほしいブリキ男、勇気がほしい臆病ライオンと出会い、彼らと絆を深めながら魔法使いが住むというエメラルド・シティへ向かう。
児童文学が原作で、『ウィキッド』は本作の裏話という設定です。ハリウッドの黄金期と言われる1939年を代表する一本とされ、とにかく公開時17歳の主演ガーランドの歌が素晴らしい。筆者は数年前、渋谷の名画座で本作を鑑賞した際、彼女が有名な「虹の彼方に」を歌い出すのを一声聴いた瞬間、ノスタルジアと憧れに胸をしめつけられ涙が溢れました。『ウィキッド』を楽しんだ方は、同作をインスパイアした本作の古き良き香りにもふれてみてください。
『メリー・ポピンズ』
- 【スタッフ】
- 監督:ロバート・スティーヴンソン/ハミルトン・S・ラスク 製作:ウォルト・ディズニー
- 【キャスト】
- 出演:ジュリー・アンドリュース ディック・ヴァン・ダイクほか
- 【その他】
- 1964年制作 | アメリカ | 139分
(あらすじ)
1910年ロンドン。いたずら姉弟の家に新しいナニー(教育係)のメリー・ポピンズが、空からコウモリ傘を差してやってくる。魔法が使える彼女は躾(しつけ)には厳しいが、友人の煙突掃除人バートと共に姉弟を絵の中に連れていったり、メリー・ゴー・ラウンドから抜け出して競馬に出場したり。厳格な父親もメリーに感化され、子供たちの気持ちに向き合えるようになる。
ディズニー映画の中でも傑作とされる、アカデミー賞5部門受賞作品。日本のテレビドラマ「コメットさん」(1967年)やテレビアニメ「魔法使いサリー」(1966年)への影響も指摘されています。アンドリュースの気品と親しみやすさを兼ね備えた美貌と歌唱(アカデミー主演女優賞)、メイン曲「チム・チム・チェリー」(同歌曲賞)などの魅力は、今も色あせません。当時は斬新だったアニメーションとの融合も、現実と非現実の切れ目ない夢の世界に連れて行ってくれます。
2本とも現代から見れば技術も演出も素朴ですが、この時代の映画の主演女優は、どうしてこんなにも輝いているのでしょう。観客を楽しませようとする出演者のショーマンシップや制作陣の心意気も、現代の映画以上にストレートに伝わってきます。映画産業自体がまだ若々しく、未来に夢を描いていた時代のミュージカル・ファンタジーを観て、あなたも再び子供のような夢見る心を。
(田中 司)
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