2010年2月号記事

【ゴールデン・ルール実践法】(2)

過疎地の巨大スーパーA‐Z(鹿児島県)

店の繁盛は「お客様の要望に応え切る」ことを続けてきた結果である

「AからZまで何でも揃う」という店名の巨大スーパー「A‐Z」は、小売業の常識をくつがえす店舗経営で不況下にも売上を伸ばしている。すべては、利益よりも「地域の生活者を優先」した結果だという。

東京ドーム3・6個分の広大な敷地面積。巨大スーパー「A‐Z あくね店」は、鹿児島県阿久根市にある。鹿児島空港から車で2時間、東シナ海に面した漁業と農業の町で、人口約2万4千人、3人に1人が65歳以上という過疎・高齢化地域。常識的に考えれば、お世辞にも立地がいいとは言えない。

だが、1997年に開店した同店は、景気が冷え込んだ2008年秋以降も売上を伸ばし、08年の年商は100億円を突破。来客数は年間650万人で、1日平均、市民の7割にあたる1万7千人が来店する驚異の繁盛店である。

経営する「株式会社マキオ」(阿久根市)は、鹿児島県内に同様の巨大スーパーを他に2店舗展開(かわなべ店、はやと店)。さらに2店の出店を予定中だが、同社が出店地を選ぶ際のコンセプトは「不便な地域であること」。09年3月にオープンした「はやと店」は、地元の強い要望を受けて人口の多い地域に出店したが、あくね、かわなべの両店があるのは、いずれも過疎・高齢化地域。にもかかわらず、09年度の3店舗合計の売上高予想は280億円を超える。

単なる偶然ではない。「売れる」には理由があった。