横浜市で開かれていた第5回アフリカ開発会議(TICAD)が3日、アフリカ各国の成長を速めて貧困を減らすなどの「横浜宣言2013」を採択して閉幕した。アフリカに対しては中国が大規模な投資をしているが、日本は単なる「投資合戦」に陥ることなく、金銭を超えた価値観を"投資"すべきだ。

3日付各紙夕刊によると、横浜宣言の主な内容は「平和と安定は成長の前提条件で、個人の可能性を十分に開花させるために必要不可欠」「民間部門が主導する経済成長を促すために、投資環境や法制度、規制の問題を改善する」「インフラ整備では、エネルギー、運輸、水の3つの分野に力を入れる」など。

安倍晋三首相は同会議で、今後5年間で1兆4000億円の政府開発援助(ODA)を含む、最大3兆2000億円の資金を官民合同で投じる意向を表明した。同会議にはアフリカ54カ国中51カ国が参加。首相は国際機関の要人も含め、15分刻みで約50の首脳会談をこなす「マラソン外交」を展開した。

人口10億人のアフリカ大陸は、部族間の争いや食料不足・貧困などの問題を抱える一方、未開発の部分が多く、「最後の成長大陸」とも呼ばれている。この大陸の成長を見込んで莫大なお金をつぎ込んでいるのが、他ならぬ中国である。アメリカの研究機関によると、中国がアフリカに支援した総額は2000年からの約10年だけでも750億ドル(約7兆5000億円)に達しているという。これは、日本の2012年のODA全額の7年分に相当する(30日付産経新聞)。

だが中国のアフリカ投資については、「新植民地主義」という批判もあるように、自国の覇権を広げるためのものであり、アフリカの人々の幸福の実現や自由の獲得を視野に入れたものとは思えない。中国政府の周辺国への軍事的な威嚇や自国民に対するさまざまな弾圧を見れば、そのことは明らかだ。

この点を踏まえたとき、アフリカをめぐって中国としのぎを削る「投資合戦」において、日本は金額の多寡を超えた、もう一段高い価値観をアフリカに伝える必要があるだろう。

大川隆法・幸福の科学総裁は2012年6月、ウガンダの首都カンパラのマンデラ・ナショナル・スタジアムにおいて、英語説法「The Light of New Hope(邦題:新しき希望の光)」を説いた。欧米諸国の植民地にされた不幸な歴史を持ち、内戦の影響を引きずり、深刻な貧困を抱えるアフリカの人々に対し、総裁はこう言葉を発した。

「あなたがたは、世界のリーダーとなることができるのです。今世紀の終わり頃です。あえて言います。現在、光は、日本、中国、インド、このような国に当たっています。しかし、次はアフリカです。あなたがたの時代が来ます。(中略)その新しい時代は、許しから始まります。ですから、未来を向いてください。自らの前を見てください。あなたがたはもっともっと幸福になることができるのです」

この説法は当時、ウガンダの国営放送や民放などのテレビ放送を通じて、アフリカ5カ国で推定3000万人が視聴した。

中国の脅威にさらされている日本が、アフリカ諸国を味方につけて自国を守る努力をすべきなのは言うまでもない。だが、アフリカの人々に「日本と中国のどちらについたら儲かるか」という判断を迫るだけでは足りない。アフリカの人々の心を善き方向へ導くことも含める必要がある。

そのためには、当の日本人自身が、経済力や産業力を超えた、人の心を導けるだけの宗教的、道徳的高みを持つ必要がある。アフリカの人々も、そうした目に見えない精神的な高みを日本人から学べることを期待しているのではないだろうか。(格)

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2012年9月号本誌記事 アフリカは今世紀末、世界のリーダーとなる "The Light of New Hope" 「新しき希望の光」 - 大川隆法総裁ウガンダ巡錫 6.23

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2013年5月20日付本欄 日本がアフリカと初の資源閣僚会合 中国の独裁輸出を防げ

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=6048