日本とアフリカ15カ国の資源担当閣僚が参加する、「日アフリカ資源大臣会合」が18日に東京で開かれ、日本政府はアフリカでの資源開発に5年間で20億ドル(約2千億円)の資金援助を行う計画を明らかにした。日本がアフリカ諸国と、資源分野で閣僚級会合を持つのは今回が初めて。石油のほかにレアアース(希土類)などの豊富な資源が産出するアフリカとの関係強化で、日本は資源の確保を目指す構えだ。

政府が発表した「日アフリカ資源開発促進イニシアチブ」には、アフリカで資源開発を行う日本企業のプロジェクトへの支援のほか、資源探査・開発のエキスパートの養成、インフラ整備などの内容も盛り込まれている。成長著しいアフリカ経済の発展を後押しするのが目的だ。

日本がアフリカとの関係強化を急ぐ背景には、アフリカとの経済協力を加速する中国の存在がある。中国のアフリカとの貿易額は日本の5倍以上(2011年)にまで拡大している。3月にアフリカ3カ国を歴訪した習近平国家主席は、3年間で2千億ドル(約1兆9千億円)をアフリカ支援のために融資する方針を発表しており、今後も関係強化を図る方針だ。

一方で、中国は支援を通じて、アフリカ各国の独裁体制を応援し、自国が国際社会で有利に振る舞えるようにしているのではないかという批判もある。

米コーネル大のサラ・クレプス、グスタヴォ・フローレスマシアス両助教授の研究によれば、アフリカや中南米各国は、中国との貿易の重要性が高まるにつれて、国連総会での特定国に対する人権決議で中国と同じ投票行動を取る割合が高まるという(米政治学学術誌「ザ・ジャーナル・オブ・ポリティクス」4月号)。

実際に、日本などが2005年に国連安保理常任理事国を目指した際には、アフリカ諸国が反対に回ったが、背後で中国が働きかけた結果とも言われる。

アフリカ支援は資源外交だけでなく、中国の独善的な独裁体制が世界に輸出されないように防ぐ試みでもあると言える。日本は、基本的人権や民主主義を尊ぶ大国として、アフリカに善き影響を与えるよう関係強化を図っていくべきである。

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