日本と台湾は10日、台北市内で4年ぶりの漁業協議を再開し、尖閣諸島周辺海域での漁業権をめぐっての漁業協定を締結した。今後、日本の排他的経済水域内に双方の漁民が操業可能な共同水域を設ける。

今回の協定では、日台双方の漁船が、北緯27度以南、先島諸島の北側の共同管理海域を中心に操業できることになった。日本は、尖閣諸島周辺の領海に台湾漁船が入ることは認めないものの、領海外での操業は認める。

日台漁業協議は1996年に始まったが、尖閣諸島の領有権や操業水域などを巡って交渉が難航し、4年前から中断していた。それが再開した背景には、台湾で中国脅威論が高まっていることがある。

そもそも、尖閣諸島は日本の領土だが、台湾も領有権を主張してきた。そんな中、1970年代から尖閣諸島の領有権を主張し始めた中国は、台湾との関係を深めながら、尖閣問題で共闘路線を取ろうとしてきた。しかし今年に入ると、台湾外交部は、中国が尖閣諸島の領有権問題を平和的に解決しようとしていないことなどを批判。中国との共闘は困難であるという声明をホームページで公開した。

今回の日台漁業協定締結について、中国外務省の洪磊(こうらい)・副報道局長は10日の記者会見で「重大な懸念」を表明。日台漁業協定の締結は、尖閣諸島の領有権を巡って台湾に共闘を働きかける中国をけん制することになるからだ。漁業権という日台間の問題が解決へと向かうことで、中国包囲網がさらに強固になるだろう。

日本と台湾とは友好関係にあり、民間での交流も活発だ。安倍政権も、東日本大震災2周年の追悼式で各国代表団と同じ待遇の「指名献花」に加えるなど、台湾への配慮を見せている。今後、日本は台湾との絆を深め、自由主義国同士の連携を深めながら、中国包囲網の形成に尽力すべきである。(晴)

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