東日本大震災2周年の追悼式で、日本政府が台湾代表を各国代表団と同じ待遇の「指名献花」に加えたことに対し、反発した中国が欠席。その上で中国外務省は11日、「強烈な不満と抗議」を日本政府に申し入れた。いつもながらの中国の横暴な外交姿勢が、ここでも明らかになった。

台湾は、東日本大震災の際に、世界最大規模の200億円もの義捐金を寄せてくれた、本来なら日本が一番感謝しなければならない相手だ。ところが昨年の1周年の追悼式の際、野田・民主党政権は台湾代表を指名献花から外し、来賓席に座らせず一般席に座らせるという「非礼」な扱いをした。中国寄りの民主党政権が、中国の顔色をうかがって台湾を外したのは明らかだ。

その反省に立って、安倍・自民党政権が台湾を指名献花に加えたのは、極めて当然のことだ。外務省は約150の在京大使館に追悼式の案内状を送付、中国側はいったん「出席」と返事をしたが、3月に入り欠席の連絡があったという。

さらに中国外務省の華春瑩報道官は11日、台湾を指名献花に加えたことに対し、「日中共同声明の原則と精神に違反するものだ」「台湾を国として扱い『2つの中国』を作り出そうとする企てには断固として反対する。日本側に対しては、過ちを正し、約束を守るよう求める」と強く非難した。

これに対して菅義偉官房長官は12日、「日本政府の説明を理解せず、欠席したことは極めて遺憾で残念だ」と述べ、古屋圭司拉致問題担当相は「ちょっと大人げない」と語った。

中国は台湾を自国の一部だとずっと主張してきた。日本は1972年の日中共同声明で、中国側の立場を「理解し尊重」するとしているが、全面的に認めているわけではない。共産党一党独裁の中国と、自由主義・資本主義の台湾とでは、根本的に相容れないのは明らかだ。

現に台湾の調査会社が今年2月アンケートしたところ、「最終的に大陸と統一すべきと思いますか」との問いに63%の人が「反対」、賛成は21%に過ぎなかった。台湾の人々はきわめて親日であり、大陸中国より日本と絆を深めたいと思っているのだ。

中国が台湾を自国に併合する、ないしは武力占領する事態になったら、日本にとってもシーレーンという生命線を奪われ、尖閣どころか沖縄も中国に奪われることになるだろう。民主党政権が続いていたら、それは現実となっていたはずだ。

ここで台湾と日本がしっかりと絆を強くすることが、台湾を救うばかりでなく日本自身を守ることにつながる。日本政府はこれを機に、中国共産党政府の横暴を世界に知らしめるとともに、台湾を守る姿勢を固め、自由主義圏の国々と共に「中国包囲網」を強固にすべきだ。(仁)

【参考記事】

2013年3月9日付本欄 WBC日台戦で台湾を感動させた日本人 日本は台湾と協力を深めよ

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=5718

2012年3月13日付本欄 台湾に対する非礼、「対応に問題なし」と官房長官

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=3949

2012年3月号記事 必要なのは台湾の中国化でなく、「中国の台湾化」 "Newsダイジェスト"

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=3741