先月30日に発売された本誌「ザ・リバティ」5月号は「福島は安全だ」と題する特集を組んだ。専門家の意見などに基づき、「福島第一原発事故による放射線は健康面でまったく問題ないレベルであり、避難生活を送っている人は今すぐ帰宅できる、政府もその方向で帰宅や復興を加速させるべき」と主張する記事である。

ところが4日、福島の某地元紙に出たその号の広告は、あらかじめ掲載の条件として、3つの表現をカットないし変更するよう新聞社側から求められた。そのため、本誌が一番訴えたい内容がかなり弱められた。変更前と変更後の文言は次の通り。

「反原発」にだまされるな いますぐ我が家に帰ろう

「反原発」にだまされるな

福島で健康被害は絶対に起きない! 札幌医科大学教授 理学博士 高田純

「福島で健康被害は起きない!」 札幌医科大学教授 理学博士 高田純

福島の食べ物も心配なし。規制値を元に戻すべき

農作物・海産物の厳しすぎる規制値を元に戻すべき

変更を求める理由は、「県民感情に配慮して」とのことだった。広告代理店を介して同社とやりとりした弊社の広告担当者は言う。「ちょっと経験のない異例なこと。読者から『そんなことを載せて本当に大丈夫なのか?』とクレームをつけられるのを怖れているのだと思います。本社で3日間も検討したそうですが、ナーバスになりすぎでは」

削られた内容は反社会的でも何でもなく、「いますぐ帰れます」「健康も絶対大丈夫です」「食べ物も心配ありません」という、他のマスコミがほとんど言わないが、避難生活者や地元の人がいちばん聞きたいだろうメッセージである。ある雑誌が自らの報道責任の元に伝えようとする内容に、同じ報道機関である新聞社がここまで手を加えるのは、いかがなものか。ちなみに産経新聞では同じ広告が原案のまま掲載された。日本中のメディアはもうそろそろ、受け手の恐怖心に訴えて儲けようとする根性や、反原発勢力に怯える心を捨ててほしい。(司)

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