15日にロシア南部で発生した隕石落下事件の負傷者は、1200人にまで拡大した。米航空宇宙局(NASA)は、大気圏突入時にこの隕石は直径約15メートル、重さ約7千トンだったと推計している。空中で爆発した隕石は広島型原爆の20倍ほどにもなる衝撃波を生み、爆風や破片で大きな被害が発生した。

小さな隕石は数日に1回のペースで地球に落下しているが、隕石でこれほどの被害が出るのは極めて珍しい。天変地異は往々にして、天からの警告であるケースがあるが、今回の隕石落下が暗示するものは何なのか。

折しも、今回の事件は、首都モスクワで主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が始まる日の朝に起きた。地球で争いばかりしていないで、宇宙人とのコンタクトが始まる「宇宙時代」の到来に向けて手を携えて協力していきなさい、というお告げなのだろうか。

恐竜の絶滅を招いたとされる約6500万年前の隕石落下は、地球の生態系を激変させる大事件だったが、現代でも、不思議と大きな隕石は時代の変わり目と見える時期に、たびたび飛来している。

1908年にはロシアのシベリア上空で隕石による爆発が起き、2000平方キロメートルの広範囲に被害が及んだ。1905年に労働者のデモを軍が弾圧する「血の日曜日事件」が起きてから、ロシアでは帝政打倒の革命運動の機運が高まっていった。この隕石衝突は、レーニンらが1917年に起こす社会主義革命の前触れだったと信じる人々もいる。

1947年2月には、再びシベリア上空で約900トンの天体が爆発し、最大で重さ300キロの破片が辺りに落下した。この翌月、トルーマン米大統領は「トルーマン・ドクトリン」を発表し、自由主義圏の外圧にさらされている国をアメリカが援助すると宣言。冷戦がいよいよ本格的に始まり、核兵器を持った米ソがにらみ合うことになる。

1954年には米アラバマ州の民家に落ちた隕石で女性がケガを負い、隕石で負傷者を出す現代で最初の事件になった。翌年にはこのアラバマ州で、黒人女性のローザ・パークスが、市営バスの白人専用座席に座ったことで逮捕されている。この事件は、マーチン・ルーサー・キングJr.牧師を中心とする、人種平等を訴える公民権運動の発火点となった。

さらに1976年3月には、中国吉林省で「隕石の雨」が降り、最大で1770キロにもなる隕石が多数落下した。この半年後に、毛沢東・国家主席が死去している。

「ディープ・インパクト」や「アルマゲドン」などのハリウッド映画は、天体激突に際して繰り広げられる終末的な光景を描いたが、それに近いものが実際に起こりうるということである。両作品では、危機に際して、力を合わせて必死にそれを乗り越えようとする人々が描かれたが、現実世界で人類は協力して地球の危機に対処することが果たしてできるのか。今回の事件が、そうした問いを我々に投げかけているとしたら意味深い。

この隕石落下の意味とは、そしてその先に待つ未来とは――。その答えは、人類の前に、やがて明らかにされるだろう。

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2012年4月号 記事 天変地異から日本を救え

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