これまでに日本人7人の死亡が確認されたアルジェリアでのテロ事件は、自衛隊のあり方にも影響を及ぼしている。日本人が海外での紛争に巻き込まれた場合、現行の自衛隊法では、安全が確認できない場所に自衛隊を送り込むことはできず、手段も船舶や飛行機に限られる。

ここにきて、邦人救助をめぐる自衛隊法改正の議論が浮上している。小野寺五典・防衛相は、「憲法などの制限がある。法律で制限を緩やかにするためには乗り越えなければならない壁があり、そこを検討していく必要がある」と述べており、自衛隊法の改正に積極的な姿勢を示している。連立を組む公明党との調整などの問題はあるが、自民党は28日からの通常国会に改正案を提出したい構えだ。

一方でこの問題は、憲法9条を守ろうとしてきた左翼的なメディアの矛盾を明らかにするものでもある。

例えば、朝日新聞は「人命第一」(18日社説)と述べるものの、海外の日本人を保護するための具体的な措置としては、政府が各国と「情報交換を密にする必要がある。企業とも情報を共有すべきだ」(23日社説)と論じるにとどまり、自衛隊の派遣までは踏み込んでいない。

毎日新聞も「邦人保護・救出の態勢を整えるのは政府の責任」(22日社説)としながらも、紛争地への自衛隊派遣については、「憲法9条との関係が問題になる可能性がある。慎重な検討を求めたい」(同)と、歯切れが悪い。

しかし「人命第一」なら、自衛隊が自国民保護のために紛争地へ救出に向かうのは当たり前ではないか。朝日や毎日の社説通りに自衛隊の邦人救出を封じたままであれば、万が一の時に、紛争地域に取り残された日本人は見殺しにしてもいいということになる。こうした"暴論"を「人命第一」と言えるのだろうか。

テロ事件を通じて、「憲法と国民の命と、どちらが大事か」という問いが、左翼的な報道を繰り返してきたマスコミに突きつけられたと言える。

軍隊は本来、国家や国民を守るために存在する。そうした常識から目を背け、「軍隊は戦争を起こすもの」というまやかしを押し通してきた左翼的な考え方は、もはや成り立たないことが明らかになりつつある。

朝日新聞の若宮啓文・元主筆は、引退を表明した12日付紙面で「9条を改めることがすべて危険だなどとは思わない。それは朝日新聞にとっても悩ましい問題だった」と告白している。アルジェリアでの痛ましい事件が、情緒的に「平和」を言うだけで、日本人の命を守ることを真剣に考えてこなかった左翼メディア崩壊の引き金を、引くことになるのかもしれない。

【関連記事】

2013年1月12日付本欄 朝日は生まれ変わるか? 若宮主筆が65歳で引退へ

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=5449

【関連書籍】

幸福の科学出版HP 『朝日新聞はまだ反日か――若宮主筆の本心に迫る』 大川隆法著

http://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=827