北アフリカのアルジェリアで16日、天然ガス関連施設がアルカイダ系テロ組織に襲撃され、日本人駐在員を含む欧米人ら約40人が拘束される事件が起きた。

犯行は、「イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ(AQIM)」の指導者を務めていた人物が、分離して立ち上げた武装組織。動機は、隣国マリに軍事介入したフランスや、仏軍に領空通過を認めるなど協力しているアルジェリア政府に対する報復と見られる。

マリではアルカイダ系の「アンサル・ディーン」など武装組織が北部を拠点に勢力を拡大し、首都まで脅かしかねない事態になっていた。そこでマリ政府の要請を受けた旧宗主国のフランスが、11日から空爆などによる軍事介入を開始。16日からは地上軍も投入している。このままではマリがテロリストの巣窟になりかねないという懸念があったからだ。

こうした動きが、マリと同様にフランスを旧宗主国とするアルジェリアでの襲撃事件につながったものと見られる。武装組織は声明で、「アルジェリア政府のフランス側での参戦は、フランスによる占領と戦って命を落としたアルジェリアの殉教者への裏切りである」としている。

このような反欧米テロが横行するのは、欧米諸国がその残虐な植民地政策の罪に、真剣に向き合っていないことが一因と言える。たとえ「友好国の救済が目的」(オランド仏大統領)とは言っても、欧米の介入は現地から「植民地支配の再来」と捉えられる。また外国人だけでなく、現地政府もテロの標的になりかねない。独立達成以降も、植民地だった国は経済支援などで旧宗主国を頼らざるを得ないケースが多く、現地政府が旧宗主国の「傀儡」と見なされてしまうからだ。

そもそも欧米諸国は16世紀ごろから、「白人至上主義」を背景にアジア・アフリカ諸国の植民地化に乗り出し、現地住民を奴隷扱いしたり、虐殺、搾取するなどした。しかし、こうした残虐な植民地政策の罪について欧米諸国から真摯な謝罪の声は聞かれない。

一方で欧米メディアは、東アジアでの政治問題について「日本は中国や韓国などに謝罪すべき」という論説を好んで載せるが、日本をスケープゴートにして自分たちの罪から逃れようとする心理が見え隠れする。日本が第二次世界大戦を戦ったことでアジアの植民地は解放され、世界的な植民地解放の流れが生まれたのであり、自分たちの過ちを棚に上げて日本にだけ罪を被せようとする欧米の歴史観は、極めて歪んだものと言える。

欧米諸国は「イスラム過激派の台頭」をテロの原因に挙げたがる。しかし、欧米諸国が植民地解放における日本の役割を再評価し、人種差別に基づく自分たちの不当な植民地支配の罪と向き合わない限り、反欧米テロは止むことがないだろう。

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