今回の衆院選で最大の争点となっている「脱原発」について、ほとんどの政党は「10年~20年内に原発ゼロ」にすると言っている。ひとり幸福実現党のみが明確に「原発推進」を言っている。その真意を、多くの国民は知らないので、ここにはっきりさせておきたい。

もちろん、一つはエネルギー問題だ。

原発を全停止したことによって、2012年度の燃料コストが約3兆円増加すると政府は試算している。これは一日あたり100億円近くが失われていることになる。コストの安い原子力から、石油や石炭などにエネルギー転換したためだ。新しい代替エネルギーをつくるとしたら、さらにコストは高くなる。

このコスト高は当然、電気料金値上げとしてはね返ってくる。すでに家庭用で11~12%、企業用で20%もの値上げが各社で決まりつつある。企業の負担は莫大で、3年以内に海外移転を希望する企業が4割にのぼっているという(2012年7月15日付日経新聞)。そうなれば、日本の雇用はますます厳しくなり、日本経済は沈没する。

もう一つ大切な観点でありながら、ほとんど忘れられているのが「国防」だ。

日本のエネルギー自給率は18%だが、原子力を除くとわずか4%に過ぎない(2008年)。原発を停止すれば、そのほとんどを海外からの石油、石炭の輸入に頼ることになる。だが、中東情勢が悪化したり、日本のシーレーンである沖縄、台湾、フィリピン海域を中国に抑えられたならば、とたんに日本は干上がってしまう。

原発の場合、燃料となるウランは、エネルギー密度が高く備蓄が容易であり、使用済燃料を再処理することで資源燃料として再利用できること等から、「準国産エネルギー」と言われる。つまり原発依存度をさらに高めることで、エネルギー自給率を増やし、いざという時に備えることができるのだ。

さらに大切なことは、「核抑止力」の観点である。

今年9月7日付読売新聞社説は、「日本は原子力の平和利用を通じて核拡散防止条約(NPT)体制の強化に努め、核兵器の材料になり得るプルトニウムの利用が認められている。こうした現状が、外交的には、潜在的な核抑止力として機能していることも事実だ。高性能で安全な原発を今後も新設していく、という選択肢を排除すべきではない」と、明確に核抑止力としての原発について述べている。

原発は、核兵器の原料にも使用可能なプルトニウムを運転中に産出する。日本の原発はすでに40年の稼働によって大量のプルトニウムを所有しており、外国からは「潜在的核保有国」と見られている。日本の技術をもってすれば、プルトニウムを使い核兵器をつくることは短期間で可能と見られているのだ。

隣の中国では大陸間弾道弾約100基、中距離ミサイル約300基を持ち、これらにすべて核弾頭を装着できる。日本の主要都市に対してもすでに照準を合わせている。北朝鮮も着々と核兵器を開発中で、数年中に核ミサイルを完成する。

このように核を持った軍事独裁国家に囲まれている日本が、国防の観点を抜きにして「脱原発」を進めればどうなるか。中国どころか北朝鮮の若い独裁者が「一発、核ミサイルをお見舞いするぞ」と脅しただけで日本は白旗を揚げ、軍門に下ることになる。

このように、「脱原発」は経済的にも、国防的にも、「日本を滅ぼす」政策である。ここまで言っているのは幸福実現党しかない。「脱原発」を叫ぶ亡国政党にこの国を任せてはならない。(仁)

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2012年09月15日付本欄 2030年代原発ゼロは、国家としての自殺行為

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2013年1月号記事 幸福実現党の防衛力&GDP倍増プラン 2.原発推進と核武装で国富を増やせ

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=5189