メディア規制や取材活動の健全性を9カ月にわたって調査してきた、イギリスの「リブソン調査委員会」がこのほど、報告書を発表。独立した規制機関の設立を法律で定め、メディア業界が行き過ぎた取材活動を自主規制することを提案した。同委員会は、規制機関が最大で100万ポンド(約1億3千万円)の罰金を課せるようにする案も明らかにしている。

イギリスでは昨年、老舗タブロイド紙「ニューズ・オブ・ザ・ワールド」が殺人事件で犠牲になった女性の電話を盗聴していたことが発覚し、廃刊に追い込まれた。リブソン委員会はこれをきっかけに発足し、有名人やメディアの取材活動で嫌な思いをした民間人など、幅広くヒアリングを行い、提言をまとめた。

今回の報告を受けて英国内では、表現の自由と健全なメディアのあり方をめぐって議論が起きている。キャメロン首相は「ルビコン川を渡ることになる」と話し、規制機関の法制化が表現の自由の制限につながりかねないという危惧を表明している。

確かに表現の自由は守るべきものだが、過剰な取材活動についてメディア側も反省すべき点は多い。

日本でも、行き過ぎた個人の人格批判を行ったり、取材も行わず「空想」で記事を書く週刊誌などがいくつもある。損害賠償を請求されても、その額以上に記事の売り上げがあればいいという、いい加減な「悪口産業」がはびこる現状は、やはり健全ではない。

正しい情報を広く知らせ、主権者たる国民が正しい判断ができるようにするという、民主主義の根幹を担う使命がメディアにはある。「表現の自由」は民主主義を担保するためにあり、メディアが言いたい放題の売文で人を傷つけ、国民を扇動するのなら、本来の使命に反している。「表現の自由には責任が伴う」という矜持が、メディアに求められている。

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