中国が潜水艦に搭載可能な核ミサイルを開発しており、実戦配備まであと2年に迫っていると、米議会の政策諮問機関「米中経済安保調査委員会」が8日に発表した。同委員会が発表した2012年の年次報告の草案では、中国が今年8月、原子力潜水艦から大陸間弾道ミサイル「巨浪2」の発射実験を行い、成功したことを強調している。10日付産経新聞が報じた。

記事によると報告書は、巨浪2は米国本土を射程に入れた核弾頭装備用だとし、「中国の空母、新鋭戦闘機、宇宙利用、ミサイル開発の計画」により「人民解放軍が西太平洋で活動する米軍部隊への潜在脅威となった」と強調。米国やロシアは核戦力として地上発射の弾道ミサイル、戦略爆撃機から投下する核爆弾、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の3つを保有しているが、中国は、このうちSLBMだけをまだ手に入れていない。今回の報告書は、中国が2年後にSLBM配備に成功し、米ロと同種の核戦力を持つ可能性を示している。

報告書は米政府に対し、中国が米国の同盟国である日本や韓国を標的とする短距離・中距離ミサイルを開発していることも強調し、核兵器や中・長距離ミサイルの削減や管理の国際交渉に中国を含めていくよう勧告している。

中国がSLBMで潜水艦から核攻撃できるようになれば秘匿性が増し、米国にとっては中国による核攻撃の脅威が格段に高まる。そうなれば米国は中国に対して強く出ることができず、尖閣問題などで日中間の紛争が激しくなった場合、自国が核攻撃されるリスクを冒してまで日本を守るとは思えない。日本の米国頼みは極めて危うくなっている。

本誌12月号で国際政治アナリストの伊藤貫氏は、核武装する中国をけん制するために日本が独自の核抑止力を持つ必要があるとし、「日本の技術力なら核弾頭を2、3年で作れる」「アメリカから核弾頭を買ってもいい」と発言している。日本には核兵器を持つための技術力も材料もあり、ノウハウをアメリカに分けてもらえばすぐにも作れる。あとは日本が「自分の国は自分で守る」と決意すること。これだけが今、足りない。(居)

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