世界初の原子力空母として1961年に就役したアメリカ海軍の「エンタープライズ」が、今年12月に退役する。

就役から約50年間、様々な作戦に従事してきた。就役した翌年のキューバ危機では、さっそく海上封鎖のために出動。その後も、ベトナム戦争やイラク戦争など、多くの戦争に参加し、米国民からは「ビッグE」の愛称で親しまれてきた。

一方、中国海軍は9月末、初の空母「遼寧」を就役させたが、これは元々、建造途中の空母「ワリャーグ」をウクライナから購入したものだ。「ハリボテ疑惑」もあるが、尖閣周辺などの日本近海に現れれば、日本にとって十分な脅威となる。

このタイミングで、エンタープライズが退役するならば、ここはひとつ日本も中国を見習って、アメリカからこの空母を購入してはどうだろう。

「50年も前に造られた軍艦を購入するなんて……」という否定的な声も聞こえてきそうだが、第二次大戦中の1943年に建造されたアメリカの駆逐艦が、2001年までメキシコ海軍で使われた事例がある。実に60年近くも現役だったのだ。空母の寿命は50年とも言われるが、中国の脅威をしのぐために数年間運用し、その間に、自前で空母を造るなどの国防強化を進めればいい。

世界的にも他国から軍艦を購入するケースは枚挙に暇がなく、日本が購入すれば、アメリカ経済の立て直しにも一役買い、同盟関係の強化にもつながる。

また、「遼寧」と「エンタープライズ」の性能差は歴然としている。遼寧の動力はディーゼルエンジンと言われるが、エンタープライズは原子力機関で馬力に換算すると3倍を超え、食糧などの補給を無視すれば、長期間に渡って全速で航行し続けることができる。

さらに、航空機を乗せる能力も1.3倍と圧倒。遼寧が装備していない航空機の離陸を補助する蒸気カタパルトをエンタープライズは装備しており、対潜水艦哨戒機や早期警戒機などの運用も可能だ。中国・北朝鮮に対する十分な抑止力になる。

そもそも日本は70年近くも前に、正規空母6隻を中核とする世界最強の空母機動部隊を保有し、欧米の艦隊を蹴散らしていた。現在、尖閣諸島や竹島をはじめとする島嶼防衛が急務だが、四方を海に囲まれている日本が国土を防衛するためには空母を持つべきである。(悠)

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