IMF(国際通貨基金)・世界銀行の年次総会が、9日から14日まで東京で開かれる。東京での開催は48年ぶりで、約2万人の関係者が来日する見通しだ。

日本が要望する円高問題については素通りとなりそうだが、アジアの標準通貨を狙う中国の人民元の台頭は許してはならないだろう。人民元に対しては、変動相場制への移行を強く求めるべきだ。一方で、円はドルやユーロに次ぐ国際通貨としての実績がある。この機会に円建ての決済を進めて、一層の国際化を進めるべきだろう。

しかし、今回の中心議題は、何と言っても欧州と米国の財政問題だ。

IMFはこれまで、財政問題については「緊縮財政」を推進する立場を維持してきた。IMFが財政難に陥った国を緊急融資などで支援する際には、増税や歳出削減などの緊縮財政を実施することを条件とし、対象国の財政健全化を促してきた。

しかし、ギリシャなどに代表されるように、現実問題として、無理な緊縮財政は、その国の経済成長を損ない、かえって債務問題を悪化させることになった。

そこで、最近では、財政再建と経済成長とのバランスを重視するスタンスに切り替わりつつある。しかし、それはどっちつかずの政策ともいえ、単なる問題の先送り策になりかねない。

現在の世界経済の不振の原因が「買い手の不在」である以上、IMFは思い切って、緊縮財政路線を明確に否定する必要があるだろう。

欧米の財政が悪化しているのは、税収が落ち込んでいるからだ。税収が落ち込んでいるのは、企業の売上が低迷しているからだ。企業の売上が低迷しているのは、買ってくれる人がいないからだ。

この因果関係からわかるのは、買ってくれる人を増やすしか対策はないということだ。

買い手の一番手は、政府であるべきだろう。政府が何らかの投資にお金を使えば、そのお金は企業の売上になる。企業の売上は、従業員の所得となり、消費へとつながる。そうすれば、法人税、所得税、消費税と税収が上がる。結果、財政が健全化される。

従って、政府としては、緊縮財政ではなく、積極財政に転じる必要がある。それも社会福祉で国民にばらまくのではなく、インフラ整備や未来産業につながる研究開発など、将来のリターンを生み出す分野へ大胆に投資するのだ。

この積極財政策の先鞭をつけるべき国は、日本しかないだろう。金利の水準から言って、日米欧中の中では最も積極財政に耐えうるのは日本であるし、超円高水準は、世界の買い手として最もふさわしい。日本が大胆に積極財政に踏み切り、世界の買い手として機能すれば、米欧中の経済も活性化する。日本は世界の救世主になれるのだ。

IMFはこれまで、日本の財務省から副専務理事を受け入れているせいか、日本に対して消費税の増税を幾度も提案してきた。ここは一つ方針を大転換して、緊縮財政にNOと言うべきだろう。そうして世界経済を救う大英断を下してこそ、半世紀ぶりに東京で総会を開く意義があるというものだ。(村)

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2012年1月号記事 日本はEU危機すら救う力を持っている "Newsダイジェスト"

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2011年6月9日付本欄 無責任なIMFの消費税上げ勧告レポート

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