日本政府が尖閣諸島を国有化したことを受けて、反日デモが15日、中国の約50都市で行われた。1972年の日中国交正常化以来、最大規模と言われる。

北京の日本大使館前では、デモ参加者が武装警察と衝突、青島ではパナソニックグループの工場が放火されるなどの被害を受けた。ほかにも日系スーパーや日本料理店などが破壊されたり商品を略奪されたりしている。

反日デモは、中国政府が容認した上で行われている。日本大使館は、中国の外務省の羅照輝アジア局長に電話で「大変遺憾だ」と伝え、日本の国旗を燃やす行為などについて「侮辱的行為」として再発防止を求めたという。

一方、事実上更迭された丹羽宇一郎駐中国大使の後任だった西宮伸一氏は、13日に自宅近くの路上で倒れて都内の病院に搬送されたが、16日に死亡した。突然の死亡は、かつてない緊迫した情勢の中で中国に赴任することへの心労も背景にあっただろう。

中国としては、弱腰外交の民主党政権に付け込んで、反日デモを拡大させることで尖閣問題にプレッシャーをかけてきている可能性が高い。日本としては、「摩擦を避けるため」と称して、「配慮」をするという愚をおかしてはならない。毅然とした対応をすべきだろう。

ただ、長期的に見れば、中国にとってのデメリットは大きいだろう。改めてカントリーリスクが高いことがだれの目にも明らかになり、中国への投資熱はこれを機に相当冷え込む可能性が高い。中国では日本製品への不買運動も起きつつあるが、日本が中国製品を買うのをやめて他国から輸入する動きが拡大すれば、むしろ中国のダメージの方が大きい。

目先の混乱と騒乱に惑わされることなく、長期的な視野に立って、中国からの影響を最小化する戦略を組み立てる必要がある。(村)

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