中国の反日デモが広がっている。19日には25都市以上でデモが発生し、25日には山東省、26日には浙江省、広東省、海南省でも発生した。

産経新聞の河崎真澄上海支局長は26日付同紙で、19日に起きた上海でのデモについて、こうレポートしている。

デモ隊が路面に広げた"2013年度版"の地図には、尖閣諸島や沖縄を中国の「版図」として描いていた上、日本全土を「琉球省」と一方的に名づけていたという。

これはデモに参加した中国人の考えであり、中国政府の見解とは言えない。しかし、中国人の領土的野心の"気分"がよく表れている。

こうした国民的気分というのを、あまり軽く考えないほうがいいだろう。気分とは、いわば世論であり、世論は、共産党一党独裁の中国でも、ある程度は政治判断の根拠となり得るからだ。

この立場から、本誌では繰り返し中国の領土的野心に警戒すべきことを訴えてきたし、今年6月に公開された映画「ファイナル・ジャッジメント」でも、その不安をリアルに描いている。ある日、突然、日本の領土が他国に掠め取られるというのは、フィクションの中の話ではなく、今すぐにでも起こり得る危機なのだ。

また、今回の尖閣上陸事件に伴う反日デモの拡大は、改めて中国のカントリーリスクの高さを浮き彫りにした。バブル崩壊で失業者が増えているという背景もあるが、このままでは、日本企業の中国への投資はさらに手控えることになる。

今まで中国の景気拡大を支えていたのは、実は日本や米国が、中国製品を買ってきたことが大きい。そのことを考えると、反日デモの拡大は、結局、中国自身の首を絞めることにもなる。その意味で、日本は決して中国に遠慮しなければならない立場にいるわけではない。政府は毅然とした対応が求められる。(村)

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