消費増税が決定した後になってマスコミは「国民の負担がこんなに増える」などと盛んに報じている。本来なら法案を通す前に議論を起こすべきで、「マスコミお得意のマッチポンプ」と言われても仕方あるまい。

14日付毎日新聞は20代の反対の声を取り上げている。年金を払っても戻ってこないのならば、自分で運用するという趣旨の勉強会を紹介している。

現在大学生の世代は、将来受け取る社会保障給付の総額よりも、現役時代に支払う税・保険料の総額が2000万円ほど過大になることが予想されている(消費税5%時)。そのため、ある大学生は「年金保険料は払い損。未納のまま、保険料分を自分で運用した方がまし」と、外国債券や株などの分散投資の勉強をしつつ運用、現在は年利7%を実現している。

今回の消費増税は、そうした世代間の不公平感を和らげる効果が期待されているという。

しかし、消費税で賄える部分はたかが知れている。社会保障給付は年に1兆円のペースで増加しているため、消費税5%分の税収増13.5兆円は、数年で消しこんでしまう。

消費増税法案を受けて8月10日、大川隆法・幸福の科学グループ創始者兼総裁は「経営の神様」松下幸之助氏を招霊。松下氏の霊は、「少子化問題を解決せず増税分を社会福祉に投入するなら、消費税率は50%まで必要になる」「松下政経塾卒業生に言いたいけど、『パナソニックももう潰れますよ。その最後の引き金を引いたのが、君たちになるよ』」と指摘した。

「消費税50%」は、絵空事ではない。このままいけば、2050年には高齢者1人を現役1.2人で支える形になる。世代間不公平はますます進み、若い世代は「払い損」が拡大する一方だ。民間の保険ならとっくに解約しているところだが、厚生年金は天引きされるから、事実上の「税金」に等しい。

つまり年金・社会保障はすでに「破綻」しているにもかかわらず、それを増税で補おうとする「国家的詐欺」に、マスコミも総がかりで「隠ぺい」しているのだ。

本当に社会保障問題を解決しようとするならば、若年層を厚くするための移民政策と、退職年齢を引き上げるために高齢者が働く環境を整えることが不可欠になるはずだ。

これからすぐに年金をもらえる世代は不満を出さないだろうが、支払い超過になる若者たちはきちんとこの事実を認識し、「増税NO、年金NO」と声を上げるべきだ。(居)

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2012年6月号記事 国民は「年金ネズミ講」の被害者だ - ナチス戦犯並みに官僚・政治家の責任追及を!

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=4193