スマートフォン、LED照明、液晶テレビなどの部品に使われているレアアースを大量に含む、泥の鉱床が見つかったことを、東京大学教授らの研究グループが発表した。場所は日本の排他的経済水域(EEZ)の範囲内で、小笠原諸島・南鳥島から南西に300キロ離れた海域の、水深5600メートルの海底。

日本のEEZ内で大規模なレアアース鉱床が発見されたのは初めて。今回の地域の資源量は、日本の年間消費量(約3万トン)の220倍以上あると見積もられている。深海から泥を回収するには今後の技術開発が必要だが、日本の工業資源の将来にとって大きな希望となるニュースだ。

レアアースは現状、世界の9割以上を中国が生産している。日本も国内消費量の大半を中国からの輸入に頼っている。2010年9月の尖閣諸島における漁船衝突事件の際、中国政府が日本へのレアアース輸出を禁止したように、中国にとっては資源外交カードでもある。今年3月には日米欧が世界貿易機関(WTO)に、中国によるレアアースの輸出規制の是正を求めて提訴。今月27日には同じく日米欧がWTOに、この問題を解決するための小委員会の設置を求めた。今回の発見で、将来的に国内でのレアアース安定供給が見えたことは、そうした外交的観点からも意義が大きい。

海洋資源の発見が経済を押し上げた例としては、イギリスの北海油田がある。北海油田は1960年から開発着手され、サッチャー政権発足の1979年から操業開始。サッチャー首相在任中の1980年代に、イギリスはなんと石油輸出国になって外貨を稼いだ。

国土やEEZ内で資源が発見されるのは運といえば運だが、資源は以前からそこに存在したわけで、それを発見・開発・活用できるかは人間の努力にかかっている。80年代イギリスがサッチャーのリーダーシップによって北海油田発見の幸運を生かしたように、日本も政治のリーダーシップを立て直し、海洋資源を戦略的に開発・利用し、もう一段の発展を遂げるための材料とすべきである。(司)

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