社会党のオランド仏政権は、富裕層や大企業への増税を予定しているが、これに対し、キャメロン英首相が「仏企業を赤じゅうたんを敷いて歓迎する」と発言した。20日付読売新聞などが報じている。

記事によると、オランド政権は、年収100万ユーロ(約1億円)を超える個人に75%課税するほか、大企業の法人税率を33%から35%に引き上げる予定である。フランスでは17日の下院選で、政権与党の社会党が単独過半数を得て勝利。社会党は、大統領と上院と下院、大半の大都市の政治ポストを得ることになり、富裕層課税強化が実現する可能性が高くなった。

これに対して、イギリスは4月に富裕層に対する減税を実施し、最高所得層の税率を50%から45%に下げたところ。キャメロン首相は今回の発言で、フランスの富裕層や企業の逃避先として、税金の安くなったイギリスへの誘致をアピールした形だ。

20日付の英フィナンシャル・タイムズ紙によると、仏企業のトップ層はこう憤慨している。

「大惨事だ。フランスでは有能な人材が集まらなくなる。外国に拠点を設けるつもりだ」「富裕層の多くは国外に逃れ、最終的に政府が徴収する額は減るだろう」「50%の所得税なら喜んで払うが、75%は論外。富裕税を加えて80%を超えたら、ここにいる意味がない」

オランド大統領は、富裕層増税に対して「これは考え方の問題だ。高貴な精神と責任感を持つということだけだ」(同日付ブルームバーグ)と語る。しかし、築いた資産を騎士道精神によって社会のために寄付することと、強制的に、国家から収入の約8割も"収奪"されることとは全く違う。自由の下で企業活動が活発になり、国民の所得が増えてこそ、国家の収入が増えるのである。

北朝鮮などを見ても分かるように、その国の民が逃げ出したくなるような国は悪い国であり、亡命先に選びたくなる国は良い国である。日本でも消費増税をはじめ、様々な増税が検討されている。だが、国民が豊かになることによって税収を増やし、さらに、海外から富裕層が移住してきたくなるような国にするためには、増税ではなく減税が必要である。(晴)

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