政府・民主党の電力政策が危うい方向へと進んでいる。

枝野幸男・経済産業相は、「(今夏は)原発がゼロになる可能性ある」「産業への影響を与えない範囲でなんとか乗り切るための最善を尽くす」などと語り、今春にも、全国の原発がすべて停止することを想定した対応策を公表する方針を明らかにした(参考:27日付朝日新聞)。

またこれに先立ち、民主党の再生可能エネルギー検討小委員会は25日、民間事業者が風力発電施設を新設する際に、送電線敷設を財政支援する制度を創設する提言案をまとめた。

だが、風力発電は建設費や維持管理費に対して出力が小さく、落雷や突風で停止することも多い。電源としてほとんどカウントできないのが現状だ。"地産地消"程度の電力に遠距離用の送電線を付けても、大きな成果は見込めないだろう。

重要な主力電源である原発を止め、安定性が低い風力や、中東からの輸送リスクが高まっている火力への依存度を上げる電力政策は、安全保障上、極めて危険である。

26日付けの米ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)は、菅直人前首相のインタビューを掲載。脱原発を訴える菅氏を、「日本の前首相、反原発活動家に転身」と伝えたが、もはや、菅氏のみではない。政府・民主党そのものが「反原発活動家」集団となっている。(清)

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