衆院は6日の本会議で、ヨルダン、ベトナム、ロシア、韓国との原子力協定の国会承認案を、民主、自民両党などの賛成多数で可決した。同案は9日までに参院でも承認され、来年1月にも発効する見通し。これによって原発の輸出などが可能になるが、国内では脱原発、海外には原発輸出という矛盾を抱える。

原子力協定は、核物質など原子力関係の資機材や技術を移転する際に、平和利用への限定や国際原子力機関(IAEA)の査察受け入れ、第三国の移転制限などを定めている。今後、発効すれば、ヨルダン、ベトナムへは原発輸出、ロシアとは日本の使用済み核燃料から回収したウランの再濃縮の委託、韓国へは原発関連資機材の輸出について、具体的な交渉が可能になる。(参考:7日付毎日新聞)

その一方で、野田佳彦首相は9月の所信表明で、「原発への依存度は可能な限り引き下げていく」と断言。菅直人前首相の方針を踏襲し、ストレステストなどによって原発の再稼働を阻んでいる。

だが、野田政権を含め、民主党や自民党の政治家が、本当に原発は危ないと考えるなら、この法案は阻止すべきだ。可決したということは、内心では、日本の原発技術が世界に誇るべきものだということを分かっているのではないか。日本で、「原発推進」と言うと、選挙の票が減るから言わないだけなのか。

そもそも、福島原発事故の放射能の影響はマスコミが騒ぎ立てるほど恐れるレベルではないし、資源の少ない日本にとって、これからも原発は欠かせない。今回の承認案に賛成した議員は、皆で国内の原発を再稼働させるための法案を提出し、可決しなければ筋が通らない。(格)

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