来年2012年は、台湾、ロシア、フランス、アメリカ、韓国などで大統領などを選ぶ選挙イヤーだが、まずは1月14日の台湾総統選挙が注目を集める。

総統選挙は3氏の戦いで、再選を目指す現職の馬英九・国民党主席、蔡英文・民進党主席、宋楚瑜・親民党主席が立候補を届け出ている。

与党の国民党と、野党の民進党、国民党から分かれた親民党の対決であるため、国民党(馬氏)の票が親民党(宋氏)に流れ、民進党(蔡氏)がやや有利になると見られている。

となれば中国共産党が黙ってはいない。「10年以内に中国との平和協定をもあり得る」と10月に表明した親中派の馬氏を何としても当選させようと、「介入」する可能性が高まっている。

これまでも96年の総統選で中国軍が台湾周辺海域にミサイルを撃ち込み、2000年の総統選では「台湾への武力行使」をにおわす「台湾白書」を公表し、圧力をかけてきた。

ただ、実際には台湾国民が中国への反発を強め、独立志向の李登輝氏、陳水扁氏が勝利した。

産経新聞は6日付朝刊で、この台湾総統選で国際選挙監視団「台湾で公正な選挙が実施されるための国際委員会」が発足したことを伝えている。総統選は従来なら3月に行われ、2カ月後の5月に総統就任式を行っていた。しかし今回の選挙は1月。移行期間が4カ月あることから、「選挙の後に何が起こるか分からない」という懸念が強まっており、この委員会では日米欧などからのさらなる参加を呼びかけている。

民進党・陳水扁氏が再選した2004年の総統選では、野党・国民党の候補との票差がわずか0.2%で、国民党が投票無効を訴えて裁判となり、再集計の結果、陳氏の当選が決まるという異例の事態となった。

今回の総統選も大混戦が予想され、かつ国民党が不利とされる。中国共産党の介入や圧力、そして選挙後の大混乱という展開となる可能性が高い。

しかも、アメリカの外交当局は中国との摩擦や対立を恐れ、親中派の馬氏を事実上推しているという。

中国は中国共産党立党100周年の2021年までには台湾を吸収することを目指している。それに向けて台湾の運命がどうなるか。2012年は1月から将来のアジアのパワーバランスを左右する山場を迎える。(織)

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