やっぱり言ってしまった。

14日、ドイツのメルケル首相が、キリスト教民主同盟の党大会で、EU(欧州連合)を政治同盟に発展させる考えを示した。事実上の「政治統合」宣言だ。

ユーロを導入したことによって、EUの17カ国は通貨を一つにしたが、財政政策は国ごとにバラバラだった。ギリシャ危機をきっかけに、各国の財政赤字の克服がうまくいかないことが明らかになり、財政政策も統合すべきだという声が上がっていた。

統合が不十分だから、ユーロ圏の経済運営が齟齬(そご)をきたしていると考えたわけだ。

しかし、金融に加えて財政政策も統合されれば、限りなく政治統合に近づいていく。従って、今回のメルケル首相の発言が飛び出るのは時間の問題だった。

これは見事な逆判断となるだろう。

ギリシャ危機によって証明されたのは、金融政策であれ、財政政策であれ、そもそも統合は無理だということだ。

しかし、それを認めたがらないEUは、逆に統合を強めることで、危機を乗り切ろうとしている。崖に向かって走る車が、さらにアクセルを踏んでしまったようなものだ。

その結果、ユーロ崩壊はさらに悲惨なものになる可能性が高い。(村)

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