「新首相は増税逃げるな」と、27日付読売新聞が論じている。新首相の候補者が一様に増税から逃げようとしている、という主旨だ。

読売は一貫して「増税」を言い続けているが、震災復興の時に増税はいかがなものかと考える政治家に対して、「逃げるな」とは言いすぎではないか。

記事では、「最大の課題は、高齢化に伴い、毎年1兆円規模で増え続ける社会保障費だ」と言っている。「実際に社会保障費は、この14年間で14.5兆円から28.7兆円に増えた」とも。それを増税せずに国債に頼ってきた結果、国債残高が668兆円にもなっているという。

要は、社会保障費を税金で賄えということだが、「社会保障費イコール税金」となれば、明らかに社会主義国の政策だ。いつから読売は社会主義礼賛になったのか。

社会主義国や、北欧が深刻な財政難に陥っていることを、もっと認識したほうがよい。

もともと年金制度は、積み立てたお金を運用し、それを高齢者に還元するという制度だ。近年は不況で株価は低迷、金利も低いため、運用による損失がかなり大きい。

そもそも利益を生む仕事をしていない国が、運用で利益を出せるものなのか。いくら税金をつぎ込んでも、その分を損失補てんに回さないとも限らない。「消えた年金」問題もいまだ解決していないのだから。ならば、運用は民間に任せたほうがよい。

結論的には、国家が年金制度を担うには、日本は大国になりすぎ、少子高齢化も進みすぎた。年金を税金で賄おうと考えても、いずれ破たんするのは見えている。

ならば、年金制度を抜本的に改めることこそ必要なのではないか。自由主義ならば、「自己責任によって老後資金を運用する」という、民間主導の制度にすべきだろう。(仁)