朝日新聞が18日付1面で「甲状腺被曝 子どもの45%」と大々的に報じている。

この記事によると、原発事故後すぐの3月24~30日、福島県いわき市と川俣町、飯舘村で0~15歳1080人を対象に実施した甲状腺の内部被曝検査で、全員が毎時0.1マイクロシーベルト以下だった。55%は測定値がゼロ。0.01マイクロシーベルトが26%。0.02マイクロシーベルトが11%。最高が0.10マイクロシーベルトだったという。

これを受けた2面の記事では、検査を受けた親の「0.01マイクロシーベルトの健康への影響がわからなかった。失望した」という声を紹介しているが、この記事自体、健康への影響がどのくらいなのか、まったく分からない。

専門家によると、このレベルの甲状腺被曝は、チェルノブイリ原発事故で被曝した子供たちの1000分の1程度の線量だという。チェルノブイリ事故では世界保健機関(WHO)の2002年時点の調査で計約4800人の甲状腺がんが発生し、15人が死亡したことが明らかになっている。

福島原発事故直後の3月末の時点で、かつ、最も汚染度の高かった地域で0.10マイクロシーベルト以下の甲状腺被曝であるならば、この地域の子供たちから甲状腺がんは発生しない、というのが専門家の見方だ。

2面記事の見出しは「子の被曝 尽きぬ不安」だ。無用な不安を取り除くのがメディアの役割のはずだ。(織)