アフリカ最大の人口(1億5千万)を擁し、世界7位の産油国であるナイジェリアで、大統領選の結果に不満を持つ人々の暴動が起きている。この国はムスリムが50%、クリスチャンが40%と宗教的に2分されており、それが政治的対立と重なっている。19日付英紙フィナンシャル・タイムズの記事から要約してみる。

・今回の大統領選(第1回投票)では、現職で南部の産油地帯出身であるジョナサン氏が、北部出身の元軍部指導者ブハリ氏にダブルスコアの大差で勝った。だがブハリ氏の支持基盤である北部住民は、投票結果に不正操作があったとして、18日月曜に北部の都市でキリスト教会や民家を焼き討ちした。

・EUの選挙監視人などによれば、今回の投票はここ十年で最も公正に行われたという。だが投票結果を見ると、ムスリムの多い北部をブハリ氏が制し、クリスチャンが大部分である南部でジョナサン氏が勝利しており、この国が政治的に二極分化していることがわかる。

・暴動では兵士がムチを使って人々を追い払い、人々は裏通りで投石や教会の焼き討ちに及んだ。流れ弾に当たって死亡した子供なども出た。カドゥナ州では24時間の外出禁止令が出た。

ナイジェリアでは過去十年で政治対立がらみの暴力により数千人が死んでいる。2007年には北部でイスラム武装勢力と治安部隊の大規模衝突が発生、死者数百人が出た。人口1億5千万の大国で選挙結果に対する暴動が起き、死者や外出禁止令が出ているとは、日本とアフリカの治安や国民性の差を改めて感じさせられる。ナイジェリアもまた、宗教対立を解決するための原理を必要としている。(司)

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