東日本大震災後、日本各地で祭りやイベントの開催が中止になるなど「自粛ムード」が漂っている。毎年50万人以上の観覧者がつめかける東京湾大華火祭は早々と中止が決定し、5月の東京・三社祭と神田祭の中止も決定した。また、この春の入社式や入学式、結婚式なども延期が続出しており、結婚式場として人気のある「八芳園」(東京都港区)では、挙式や披露宴の延期が60件超に上った(2日付産経新聞)。

「今回の被災者がまだ不自由な生活を強いられているなか、自分たちだけが楽しんでいいのだろうか」という被災者の心情を配慮した判断だと思われるが、一方で、このままでは日本経済が停滞するとの懸念も出ている。自粛ムードが高じて消費活動そのものを控えるようになれば、日本は震災の打撃に加えて「貧乏神」に苦しめられることになる。

政府はこの「自粛ムード」に輪をかけるように、被災地復興の財源を所得税や法人税などの増税で賄おうとしている。「消費するくらいなら納税を」というメッセージに見えなくもないが、「まず増税ありき」では不況はますます深刻化する。中長期に渡る復興活動を成功させるために、今回無事だった人たちにできることの一つは、日本経済を支えることだ。景気が回復してこそ税収も増え、被災地支援の後押しになる。

被災地である当の石巻市は、8月の「石巻川開き祭り」を予定通り開催することを発表した。「こんなときだからこそ、市民に希望と勇気を与えたい」と関係者は言う。被災地に必要な支援は「何をやめるか」ではなく「何ができるか」という積極的な考え方から始まるのではないだろうか。(雅)

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