日本経団連は31日、「震災復興特別委員会」(委員長・米倉弘昌経団連会長)の初会合を東京で開き、「震災復興に向けた緊急提言」を取りまとめた。

「震災復興庁(仮称)」の設置や道州制の導入などを訴えたのが特徴だが、スローガン的な内容が多く、総じて復興というより復旧に重点が置かれており、具体策についての記述も少ない。

問題なのは、「道州制の導入」をうたった点だ。

提言では、早期復興に向けて、道州制の導入を視野に入れた自治体間協議の促進を訴えている。しかし、もし現在道州制を導入されていたとしたら、「東北州」はまさに州ごと壊滅状態になっていたはずだ。大規模災害で、今ほど国の役割が必要とされる時期はない。今回の地震では市町村ごと壊滅した地域があり、地方分権は危険だ。むしろ必要なのは中央集権化だろう。

提言の中では「強力な指揮命令権を持つ司令塔を確立」すべきだという主張も盛り込まれているが、これは道州制という地方分権の流れとは矛盾する。

震災復興には財界の協力は欠かせない。しかし、今回の提言に関しては実効性は薄いといわざるを得ない。もう一段具体的で骨太な提言を期待したいところだ。(村)

※現在、デイリーニュースクリップは無料でお読み頂けます。近日中に有料購読に移行予定です。

【3月31日分ニュースクリップ一覧】
小1の35人学級、衆院委で可決
アメリカなど各国が「原発推進」を明言
政府が復旧復興税を創設、震災国債の日銀引き受けも
不透明な中国の国防白書
東電国有化は本当に必要か
アフリカで展開する中国の新植民地主義