3月27日付の日本経済新聞によれば、ロシア最大の証券取引所MICEXは、今年6月までに国内2位のRTSと経営統合する。

これによりロシアの証取は一つに集約され、売買代金の合計でいえば約5300億ドルで世界17位の水準となる。MICEX社長は、市場の流動性を高めて投資を呼び込み、国際競争力を高めるとの目的を語り、海外証取との提携を進める方針も示している。ロシアのメドベージェフ大統領はこれを機会に金融市場の整備を急ぐと見られる。

ロシアは中国とともに、ここ数年、ドル依存を減らすよう各国に呼びかけてきた。メドベージェフ大統領は各国中銀に地域通貨を広く使用するよう求め、モスクワの国際金融センター化に意欲を燃やす。中国も人民元切り下げへの国際的圧力に抵抗し、人民元をドルに代わる基軸通貨にするとの狙いが見てとれる。さらにMICEX証取では、昨年末からロシアルーブルと人民元の取引が始まっており、ドル使用を回避して両国通貨を強化する狙いは明らかだ。

各国の金融市場が協力して発展することはよいが、中露の金融市場の発展がその覇権主義的な政治体制を後押しすることにならないか懸念される。MICEX社長は東証ともシステム分野での協力に向け交渉を進める方針を示しているが、日本は、ロシアに協力しつつも東証のさらなる強化とドルとの提携強化を図り、国際金融市場の安定を保つことが望まれる。(由)

※現在、デイリーニュースクリップは無料でお読み頂けます。近日中に有料購読に移行予定です。


【3月27日分ニュースクリップ一覧】
東シナ海で中国のヘリが護衛艦に異常接近
高さ10メートルの防潮堤を過信した恐さ
輸入停止が相次ぐ日本産農産物
いつまで続く復興財源論