原発事故の被害拡大を恐れて、在日外国人が首都圏や日本からの脱出を始めている。過剰な反応ではあるが、この混乱の根本には原発そのものの危険性より、民主党政権が日米同盟を不安定化させた「外交の失敗」があるようだ。

3月19日付読売新聞によると、米政府は地震発生直後から、1979年のスリーマイル島原発事故の経験に基づき、「正確なデータがあれば、日本の効果的な対策に協力できる」と何度も伝えてきた。だが、日本政府からは原発の被災状況について詳細なデータ提供を受けられていない。こうした日米両政府のすれ違いの原因は、日米同盟を揺るがせにした民主党政権下で両国間のパイプが細り、円滑な意思疎通ができない実態があるという。

日本政府の避難指示の範囲は原発から半径20キロにもかかわらず、得られる情報が乏しい米政府は、日本にいる米国民に半径80キロの避難を勧告。「米国に追随していれば安心」と、ヨーロッパ諸国やオーストラリア、ニュージーランドなど多くの国も同じ措置をとっている。

こうした勧告を受け、外資系企業の対応は過剰になっている。スウェーデン系カジュアル衣料「H&M」は、従業員約800人の関西への一時退避を決めた。インドのコンピューターサービス最大手はインド人社員の帰国準備を進め、日本人社員とその家族も首都圏から移動させる。フランスの銀行最大手「BNPパリバ」は日本在勤の社員約10人を香港とシンガポールに配置換え。韓国にいたっては、被災地に入った救助隊107人の3分の2を新潟に移動させた。(参考:同日付け産経新聞など)

日米同盟の不安定化が日米両国の関係悪化にとどまらず、このような形で諸外国の信用を失い、日本の経済活動や被災者に悪影響を与えることは誰も予想できなかっただろう。今私たちは、政府の「外交の失敗」があらゆる形で日本国民に不利益を与える、という現実を深く胸に刻まなければいけない。(格)

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