『アメリカ後の世界』などの著作がある、ジャーナリストで国際問題評論家のファリード・ザカリア氏が、14日号の米誌タイムで、枝葉末節の予算削減ばかりで長期的な投資を怠ればアメリカは衰退していくと述べている。

ワシントンでは予算案をめぐる両党の攻防が続いているが、財政問題に取り組むといっても、両党ともに予算削減の本丸である社会保障費の問題を棚上げしているとザカリア氏は批判する。その一方で、一律削減の号令の下、歳出削減にさして効果のない教育や科学技術、イノベーション、インフラの予算ばかりが削られ、長期的な経済成長を阻害しかねない。その原因としては、選挙民におもねるばかりに、福祉予算が膨らんでゆく民主主義の弱点が挙げられる。問題は大きな政府か小さな政府かという単純なものではなく、政府予算の本当に必要な分野とそうでもない分野があるということであり、補助金ばかりの非効率な資源の配分を正さなければアメリカは衰退してゆくとザカリア氏は論じている。

日本流に言い換えれば、バラマキで票を買うようなことばかりしていないで、適切な投資をしなければこの国は衰退するということである。アメリカ衰退を憂えるこの論説は、日本の民主党の政権運営にピッタリ当てはまる警告であろう。

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