北朝鮮が食糧援助を各国政府に求める中、それに応じるべきだという声が出始めている。

元米国務次官補(東アジア担当)のクリストファー・ヒル氏は22日に論説掲載サイト・プロジェクト・シンディケートに投稿し、北朝鮮庶民の人命を犠牲にしてまで、飢饉に喘ぐ北朝鮮の体制崩壊がもたらす利益を取るのか、韓国政府は難しい選択を迫られると述べ、北朝鮮への支援を暗に示唆している。いずれ半島が統一されれば、飢餓に苦しむ人々も同じ国の市民となるという論点を同氏は指摘している。

また、23日付の米誌ナショナル・インタラスト(電子版)では、国際政策センター・ディレクターのセリグ・ハリソン氏が、核問題での譲歩と交換に、アメリカは北朝鮮への長期的な食糧支援を約束すべきだと論じている。北朝鮮では海外からの援助の有無に関わらず、軍部が優先して食糧の配給を受けるのだから、透明性は問題ではないとも述べている。

いずれも安全保障だけでなく人道的な観点からも北朝鮮問題を見るべきとの論である。しかし人命の尊重をうたうのはいいが、北朝鮮の今日の体制を長引かせることが、長期的な視点から見て本当に人道的であり、問題の根本解決につながるかを考えなければならない。太陽政策やブッシュ政権後期の北朝鮮への譲歩によって、崩壊過程にあったはずの北の体制が生き長らえたことで、東アジアの安全保障の脅威が続いているのである。

今月初めの南北軍事対話も、昨年の哨戒艦撃沈と砲撃事件の謝罪を改めて拒否した北朝鮮側が一方的に退席して終わった。もし食糧援助の要請が本当に北が困窮している証であるならば、向こうからの譲歩がないうちにこちらから手を差し伸べるのは、やや性急ともいえるのではないだろうか。

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