経済産業省や民間企業が、総額1100億円を投じてレアアースの中国依存からの脱却に乗り出している。

2月25日付け日経新聞によると、金属・自動車関連の各企業は、①レアアースの使用料削減・リサイクルの促進、②米国やオーストラリアなど供給源の多様化、③新型部品に対応するための実証試験、などを進める。並行して、経産省は企業の新たな取り組みで発生する設備投資を資金面で支援。対象事業160件に計331億円を支給し、さらに90億円を追加事業に投じて、中国から輸入の3割を減らすという。

この取り組みには、日本が目指すべき成長戦略のヒントが含まれている。

・レアアース使用量削減やリサイクル ⇒ 新しい高付加価値の技術を生み、海外展開につながる(技術の高度化)

・脱中国依存・供給源の多様化 ⇒ 特定の国に「生殺与奪の権」を握らせない(国防)

・有効な企業支援 ⇒ 新たな雇用や設備投資が生まれ、経済が活性化する(雇用増、産業振興)

菅直人首相は、「医療」「介護」「保育」を、日本経済を牽引する「新成長戦略」分野と位置付けるが、果たして正しいか。上記の取り組みを進める経産省のトップは海江田万里氏で、菅首相が三顧の礼で迎えた与謝野馨氏に経済財政担当相の座を奪われたが、経産省の取り組みは、消費税増税で国民から金をむしりとろうとする菅・与謝野路線とは少し違うようだ。

今回の経産省の企業支援は「補助金」ではあるが、補助金そのものが悪いわけではない。農家への戸別所得補償や子ども手当てなどはバラマキであり、単なる「浪費」に過ぎないが、使ったお金がそれ以上の価値を生み、経済成長につながれば、それは「投資」である。今、政府に求められるのは、未来の発展へとつながる投資なのだ。(格)

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