浜岡原発の全面停止が招く日本の失速

2011.05.08

菅直人首相が6日夜、浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)のすべての原子炉の運転を停止するよう、中部電力に要請したと発表した。中部電力は要請を受け入れる見通しで、今後、日本の電力需要や経済へのダメージが心配される。

まず危惧されるのが、電力需要である。中部電力は今夏の電力需要のピークを2560万kw(キロワット)と見込んでいる。だが運転停止によって、供給力は従来計画の2999万kwから約2600万kw強に低下する見通しで、これでは昨夏の需要ピーク時の2621万kwに比べてほとんど余力がない。中部電力は震災後、東京電力と東北電力に約40万kwの電力を供給してきたが、この支援の継続も難しくなる。

また、中部電力が供給する電力の4割は工場などの大口顧客が使用している。このため、国内最大メーカーであるトヨタ自動車をはじめとする自動車関連部品や工作機械のメーカーなど、製造業の一大集積地である中部地方に工場を持つ企業に打撃を与えそうだ。さらに、震災の影響で東日本での生産を西日本に移すなどしていた企業にも大きな影響を与える。

政府は関西電力に中部電力への支援を求めているが、今後、西日本でも“節電”“自粛”ムードが広がるかもしれない。しかし、首都圏に続き、中部・近畿圏という日本経済をけん引する三大都市圏が一斉に失速すれば国がガタガタになる。

菅首相の発表に対しては、「支持率低迷に苦しむ政権が反転攻勢のために繰り出した苦肉の策との見方も出ている」(5日付読売新聞)、「首相官邸内にさえ『浜岡原発の全面停止はインパクトがある。政権浮揚を意識したのではないか』との見方がある」(同日経新聞)という指摘もある。

菅首相は運転停止の理由について、「国民の安全と安心を考えてのことだ」と説明しているが、本当にそう考えるならば、“左翼貧乏神”とともに政権の座から降りたほうがいいだろう。(格)

参考記事:2011年6月号「日本から左翼貧乏神をたたき出せ」

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=1870

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