日本のエネルギー自給率をいかにあげるかが勝負

2011.03.18

3月17日付日経新聞の経済教室で、日本エネルギー経済研究所顧問の内藤正久氏が「エネルギーの最適構成を」と題して、コラムを寄せている。

以下、内藤氏のポイントを一部紹介する。

・日本のエネルギー自給率は世界的にも低い。自給率は、4%(原子力込みだと18%)であり、主要人口大国では異例である。 日本が参考としてきたフランスを含め、ほぼすべての主要国で原子力を含む自給率は50%を超えている。
・石油は9割が中東依存である。エネルギーの海上輸送時に通過するマラッカ海峡などの安全確保が必要だ。
・中東のデモのうち、商品市場が最終的に注目するのは、サウジアラビアとイランの動向である。
・今後はエネルギーを大量に必要とする中国などの資源ナショナリズムによって、供給が制約されることが予想できる。たとえば、スーダンの原油生産では中国国営企業が主たる役割を果たし、原油輸出の65%が中国向けである。ほかにもアンゴラ、ナイジェリア、南米、中央アジア、カナダでも相手国企業の買収を含め、同じ傾向がみられる。
・このような情勢のなかで、日本は、第一次エネルギー供給のベストミックスを実現し、また自主開発比率を40%まで高めることだ。また、原油備蓄、産油国との外交関係でも、相手国のニーズを満たす形でインフラ整備、技術移転、人材育成、投資などの支援をすること。とくにイラク、ロシアなどへの戦略強化は有力候補である。

今日は中国が新規原発建設計画の承認を暫定的に停止したが、これによってさらに石油の需要が高まることは必須であろう。

原発の安全性に対する懸念も高まるが、石油に代わる代替エネルギーとして効率的にエネルギーを供給可能なものはまだ開発されていない。

世界的なエネルギー争奪戦がはじまったら、原発を除けば4%とエネルギー自給率が低い日本は、どう対処していくのか。自国の安全保障には、エネルギー安全保障が含まれることを知らなければならない。(HC)

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