《ニュース》

中国が世界の半導体市場を支配する切り札として、莫大な労力を投じてきた「極端紫外線(EUV)露光装置」の開発。ついに、最先端の半導体チップの製造に必要な「露光装置の試作機」を完成させたと報道されているものの、オランダメディアによると、その技術レベルは西側諸国に到底及んでいないといいます。

《詳細》

中国が世界の覇権を握るには、さまざまな電子機器に搭載されている半導体のサプライチェーンを独自に構築し、西側から全面的な供給が断たれたとしても、自給自足できる体制を整えなければなりません。その最大の障壁の一つが、7ナノメートル以降の微細化に必要な「EUV露光装置」の開発でした。

アメリカが主導する形で、西側は対中輸出規制を厳格化し、その開発を阻止しようとしてきました。しかし、中国はオランダの半導体メーカー「ASML」の元技術者を雇い、ASMLの古い世代の露光装置をリバースエンジニアリング(完成品を分解・解析)することで、独自の試作機を開発(2025年12月18日付ロイター通信)。中国包囲網を突破したと主張しています。

中国政府は莫大なコストと年月をかけ、自国の通信機器メーカー「ファーウェイ」などを開発に投入。厳重な警備のもとで秘密裏に行ってきたこの計画は、「マンハッタン計画」とも呼ばれてきました。

試作機の完成で中国は悲願を達成したと一斉に伝えられると、半導体市場は衝撃を受けました。ですが、模倣された側のオランダの日刊紙「デ・テレグラーフ」によると、実は、露光装置の心臓部に当たる技術(ミラーなどの光学系)はできておらず、中国は技術的ハードルをクリアしたとは到底言えないといいます(26年1月26日付電子版)。つまり、EUV露光装置で世界をリードするASMLの独占的地位を揺るがすものではありませんでした。

オランダメディアは、ASMLの"秘密兵器"は、ドイツの光学機器メーカー「カールツァイス」から供給されている光学システムにあり、その技術なしではASMLの最先端装置は動かないとも伝えています。そのため中国がASMLの元技術者を雇って分解したとしても、そこまではカバーできなかった可能性があります。

また、ASMLのクリストフ・フーケCEOは、中国が開発したという事実には根拠がないと反論し、中国のEUV技術は少なくとも8世代遅れていると指摘しています。

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