政府は福島の放射性物質の除染計画の目標を緩和する方針だ。1日付日経新聞電子版が伝えた。これは、福島第一原発の事故に関する国連科学委員会の報告を受けてのものである。報告では、福島の住民が被曝した放射線量は年間100ミリシーベルト以下であり、「健康に悪影響は確認できず、今後も起こるとは予想されない」としている。

福島では、被災地の復興や住民の帰還が進んでいない。その理由の一つに、除染の基準が必要以上に厳しく、目標達成が難しいことが挙げられる。

福島県の除染の長期的な目標は年間線量1ミリシーベルト以下とされてきたが、この基準を満たすまで除染するのは非現実的だ。そもそも、100ミリシーベルト以下の放射線量では健康への影響が報告されておらず、1ミリシーベルトに向けて除染に人員や資金を費やすのは公費の無駄遣いである。

民主党政権下で決まったこの基準が、自民党政権になってからも変わらず、政権発足後半年が過ぎて、やっと見直しの機会が来た。さらにマスコミも、いまだに「福島が安全である」ことの積極的な報道をしていない。こうしたことが住民の不安を煽り、復興や帰還を妨げている。

全国的にも、原発再稼働の見通しは依然として立っていない。安倍政権は、今月発表する予定の成長戦略に原発の積極的活用を明記する方向であると、5月31日付朝日新聞が伝えている。しかしそれは、「原子力規制委員会が安全と認めた原発」に限るという。原子力規制委員会は、活断層の存在によって敦賀原発や東通原発などの再稼働を遅らせている。

実際は、活断層の存在と地震発生との関係はよく分かっておらず、専門家からも異論が出ている。また、与党自民党内からも、科学的な根拠が薄いにもかかわらず「独立性」を盾に闇雲に原発を廃炉にしようとする原子力規制委に対して、「何をやってもいいわけではない」(1日付河北新報電子版)との批判が出ている。

福島の原発事故の放射能被害で健康を害した人は出ていないし、日本の原発の安全性は国際的にも高く評価されている。本欄は2011年の事故後から一貫して、原発再稼働を進めるべきであると提言してきた。福島の復興、日本経済の復活を成し遂げるため、政府は、「福島は安全だ」と宣言して住民の帰還を促し、安全が確保された原発の再稼働を決断すべきだ。(晴)

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2013年5月号記事 福島は安全だ 今すぐ我が家に帰ろう - 反原発にだまされるな

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2013年5月28日付本欄 やっぱり福島は安全だった 国連科学委「被曝による健康被害なし」

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=6102