自民党が7月の参院選で打ち出す公約の原案について24日付各紙が報じている。だが、これまでの安倍晋三首相の強気な発言などに比べ、原案はかなりトーンダウンしたあいまいな内容となっている。これは参院選を乗り切るための選挙対策だろうが、明確な主張を避ける手法は卑怯と言わざるを得ない。

同日付朝日新聞によると、自民党の原案では、成長戦略の項目で、2012年の衆院選で掲げた「名目3%以上の経済成長」という表現から数字目標を削除し、原発でも「再稼働」について記述していない。自衛権についても「集団的自衛権の行使を可能に」という表現を削除するなど、衆院選時よりも大きく後退した内容となっている。

安倍首相はこれまでに「アベノミクス」で日経平均株価を5年前の水準まで回復させ、原発の再稼働については「政府一丸となって対応し、できる限り早く実現していきたい」などと発言していた。しかし、今回の原案は、全体的にこれまでの勢いがかなり弱まっている

こうしたトーンダウンの背景には、アベノミクスに対する批判が増えていることや、憲法改正や自衛権についての動きに海外から「右傾化」の批判が出ていることと無関係ではないだろう。安倍首相は選挙を乗り切るために、批判を受けた部分はあいまい路線でしのいで、選挙後に判断するという卑怯な手法を取るつもりではないか。

実際に、安倍・自民党は2012年12月の衆院選公約で、原発の再稼働を「3年以内に判断する」とぼかしていたが、当選後には推進し始めた。また、TPPについても「『聖域なき関税撤廃』を前提にする限り、TPP交渉参加に反対します」とあいまいにしていたが、選挙後たった3カ月で参加表明を行った。あいまい戦略は安倍・自民党の常とう手段である。

しかし、国政選挙は、国民がこの国の舵取りを託す人物を選ぶためのものである。政治家や政党がその主張を明確にしなければ、有権者は選びようがないし、選んだとしても選んだ責任を負うことができない。

本欄でも再三報じてきたが、自民党はこれまで、インフレターゲットの数値設定など、多くの幸福実現党の政策を後追いしてきたが、批判を受けただけで弱腰になってしまうのは、「なぜその政策が必要なのか」を理解していないからではないか。どうせ真似をするなら、信念を持って臨んでいただきたいものだが、信念もなく自らの主張を明確にしない政党には、国の未来を任せることはできない。(居)

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