韓国の中央日報紙は20日付で、第二次大戦中のアメリカによる日本への原爆投下を「神の懲罰」と論じるコラムを掲載した。筆者は論説委員のキム・ジン氏で、「大韓言論賞」を受賞したこともある、韓国指折りのジャーナリストの一人だ。

コラムは「神は人間の手を借りて人間の悪行を懲罰したりする。最も過酷な刑罰が大規模空襲だ」という一文から始まり、第二次大戦中の連合国による独ドレスデン空襲と、アメリカによる日本への2発の原爆投下がそれに当たるという。ドレスデンは「ナチに虐殺されたユダヤ人の復讐」であり、日本への原爆投下は「軍国主義の犠牲になったアジア人の復讐」だという。

記事はまた、安倍晋三首相が空自基地を訪れた際に試乗した飛行機の番号が、細菌兵器を研究したとされる旧日本陸軍部隊と同じ「731」だったと揶揄。「その数字にどれだけ多くの血と涙があるのか彼はわからないのか。安倍の言動は人類の理性と良心に対する生体実験だ」と、言いがかりとしか思えない個人攻撃を展開している。その上でコラムは、「日本に対する懲罰が足りないと判断するのも神の自由だろう」と、日本に警告して結んでいる。

20万人もの民間人を無差別に殺傷した日本への2発の原爆投下は、日本の"戦争犯罪"があったかどうかに関わらず、人類史上最も悲惨な大量虐殺である。日本政府は正式に抗議しているが、記事の筆者であるキム・ジン氏と中央日報紙は、記事を訂正した上で真摯に謝罪すべきだ。

トップクラスのジャーナリストがこのような人倫にもとる悪辣な記事を書き、しかも大手紙がそれを掲載する事態は、韓国の言論界がいまだに前近代にあるということの証左だろう。ドレスデン空襲や広島・長崎への原爆投下を「神の懲罰」と他人行儀に論評する背景には、「日独は戦争犯罪に手を染めた悪い民族だから、何をされてもいい」という、人種差別的な考えが透けて見える。実際に韓国は歴史問題で「倫理観の劣る日本」というイメージづくりに励んでおり、今回の論調もその考え方の延長と読める。

また、自然災害を「神の怒り」と見て反省しようというのならまだ話は分かるが、戦争は人を相手としたものである。言うまでもなく、ユダヤ人がドレスデンを空爆したわけではなく、原爆投下はアジア人によるものではない。歴史的な事実を自分勝手にねじ曲げて事実を創作するのは、歴史問題で反日プロパガンダに励むこの国らしいと言える。

一方で、日本国内の贖罪史観が、こうした言論の登場を呼び込んでいる面もあるだろう。広島の原爆死没者慰霊碑には、「過ちは繰返しませぬから」という文言が書かれている。原爆投下による無差別虐殺という“過ち"を犯したのはアメリカであるはずだが、これでは例のコラムと同様に、「原爆投下は日本の悪行への裁き」という、倒錯した論理になってしまう。過去の戦争について反省するのは結構だが、「日本が悪かった」という一方的な決めつけを捨てて、白紙の目で善悪を判断する必要がある。

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