北朝鮮は米グアムを射程に収める中距離弾道ミサイル「ムスダン」の発射準備を完了しており、10日夜の時点で発射は確認されていないが、近く発射される恐れがある。ミサイルは、日本列島を飛び越えて太平洋に着弾すると見られている。

北朝鮮は他にも、短距離ミサイル「スカッド」や、日本全土を射程に収める「ノドン」ミサイルを、日本海側に配備したという情報もあり、複数のミサイルが発射される可能性がある。

日本側は、イージス艦を日本海に展開するなど、ミサイル防衛の態勢を取っている。日本の領域内に着弾しそうな場合は、イージス艦から発射する迎撃ミサイル「SM3」を使って大気圏外で撃ち落とす予定だ。また首都防衛のために、防衛省などに迎撃ミサイル「PAC3」も配備された。

しかし、今回のミサイル発射について、北朝鮮は日時や方角を予告していない。北朝鮮の予告に基づいてミサイル防衛を敷いたこれまでよりも、迎撃が難しいという分析もある。

日本列島を超えてミサイルを発射するのは、戦争行為に等しい挑発に他ならない。しかし、国内の議論は北朝鮮の挑発を静かにやり過ごすことばかりに終始し、危機感が薄いように見える。

毎日新聞は9日付の社説で、「迎撃態勢だけでなく、被害が出た場合に備えた救援措置にも十分な態勢が必要だ」と論じている。しかし、「被害が出た場合」とは日本領内にミサイルが着弾した時のことであり、それは日本が宣戦布告に等しい武力攻撃を受けたという意味である。その時に「救援措置」だけで済まされるはずがない。

憲法9条のもとで「専守防衛」をうたう日本は攻撃用兵器を持たないため、万が一ミサイルが着弾した際には反撃することもままならず、アメリカに泣きつく以外にない。しかし、攻撃を受けた時でさえ自力で反撃もできずに黙っているというなら、国民の命を守ることができない。憲法9条で国は守れないということを、国民各位が深く自覚するべきである。

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