生と死の境界線が変わるかもしれない。

数々の臨死体験を通して死後の生命の研究をしているサム・パーニア医師がこのほど、『Erasing Death(死の消去)』という本を出版した。同氏は、ニューヨークのストーニー・ブルック大学医学部の医師で救急蘇生法の指導者。臨床死と判断された患者を蘇生させた例を紹介するなどし、「生と死の境界線を書き改める科学」として話題となっている。

本誌2006年10月号の記事「『幽体離脱』を科学する」では、死後の意識の存在を考察するパーニア医師の実験が紹介されている。そこでは、1年間の調査の結果、院内で65人の患者が心停止に陥って蘇生し、うち7人が臨死体験を記憶していた。

その後の研究でも、死後、蘇生した患者たちから、燦然と光るトンネルや、暖かく圧倒的な愛される感覚など共通した体験談が報告された。一般的に科学では、これらは脳への酸素不足による幻覚とされるが、パーニア医師は、心停止後も意識が残っている証拠だと信じている。つまり、「臨床死は絶対的なものではなく、まだ生還可能なのではないか」について研究してきた。

パーニア医師は、そこで遺体を冷やすという方法を紹介している。代謝を落として必要な酸素を少なくしながら、細胞内に増える毒素も抑えるというもので、実際、心停止した妊婦がお腹の赤ちゃんとともに蘇生した例がある。脳の損傷というリスクもあるが、パーニア医師は、タイタニック号から冷たい海に投げ出された人々も、現在なら、多くを救えただろうと言う。

肉体とそれに宿る魂という宗教的な真実から見ると、死後、肉体と魂をつなぐ霊子線(れいしせん)が切れない限りは魂が肉体に戻ってくる可能性がある。通常、霊子線が切れるのに24時間ぐらいかかり、切れると二度と魂が肉体に戻ることはない。埋葬後、蘇生したという例が昔からあり、19世紀のヨーロッパでもたびたび「埋葬を急ぐな」という議論があった。

パーニア医師の研究は、医学の側から死についての真実に迫るものだ。(純)

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2006年10月号記事 「幽体離脱」を科学する

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=381