福島第一原発事故で放射性物質を含んだ建物や道路を洗浄する除染作業が行われているが、除染で出る放射性物質を含む汚染土などを保管する「仮置き場」が足りていないという自治体が半数を上回っている。1日付産経新聞が報じた。

環境省は福島第一原発から半径20kmの11町村を「1年間の積算線量が20ミリシーベルトを超える恐れがある地域」として「除染特別地域」に指定。また約100市町村を「年間1ミリシーベルト以上の地域」として「除染実地区域」(汚染状況重点調査地域)に指定している。

現在、汚染土など最終処分が可能になるまでの30年間の貯蔵場所として、中間貯蔵施設の設置時期や場所を定めようとしており、その中間貯蔵施設に搬入する汚染土などを集めておく「仮置き場」が存在している。

産経新聞は、除染特別地域と汚染状況重点調査地域の計40自治体を対象にアンケート調査を行った。その結果、本格的な除染を進めているのは32自治体だった。

この内20自治体が「仮置き場が足りていない」と回答。また、「足りている」と回答した自治体でも、「仮置き場の恒久化が起きるのではないか」という不安を示している。

しかし、これらの地域にそもそも除染が必要なのかについて、今からでも見直しが必要だ。

国連科学委員会は昨年12月、「100ミリシーベルト以下の被曝では人体への影響はない」と報告している。これでいけば年間20ミリシーベルトでの除染は必要ない。

私たちは日常の気づかぬ所で放射線を浴びている。東京-ニューヨーク間の往復航空旅行は0.2ミリシーベルト。CTスキャンでは6.9ミリシーベルトも浴びている。また宇宙飛行士は1日に約1ミリシーベルト、3カ月宇宙空間にいれば約100ミリシーベルトを浴びる。

また、インドのケーフラ州では日常的に年間35ミリシーベルトという放射線量を浴びている。この地域と他の低線量地とで、がん死亡リスクを比較しても差異はほとんどない。

このような事実を知ってか知らずか、「除染が必要だ」と言うこと自体が、いたずらに放射能汚染の恐怖をあおるだけではないのか。そもそも除染の必要がないならば、汚染土を出すこともなくなり、このように仮置き場がいくつも存在する必要がなくなる。ここで使われている資金と人材を復興にあてることも可能である。政府・行政は間違った知識を正し、無駄のない復興を目指すべきだ。(徳)

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2013年1月24日付本欄 「福島原発事故による人体への影響はない!」と国連科学委員会が結論

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=5502

2012年9月16日付本欄  福島原発事故 人体被害の小ささをもっと大きくアピールせよ

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=4867