緊急経済対策としての公共事業関係費約5兆円を含む、総額で約13兆円の今年度補正予算案が先週、国会で審議入りした。景気回復の柱として期待される公共事業だが、相変わらず野党からは「1日でも早くお金が建設業者らに流れるよう、手を打っている」「旧来型の公共事業優先だ」などと批判されている。

しかしながら、「公共事業イコール税金の無駄遣い、あるいは業界との癒着」という論理は日本を弱体化させる左翼勢力の洗脳の一環で、「コンクリートから人へ」に代表される現実離れしたキャッチフレーズに過ぎない。

もともと地震列島で人が住むには必ずしも適していない日本の居住環境を、ハード面で現在のレベルにまで押し上げてきたのは、公共事業による社会資本整備だ。過去から受け継がれ、子や孫の世代のために住みよい環境を遺していくという、過去、現在、未来にわたる事業を成している社会資本整備を怠れば、必ず将来世代につけを残すことになる。

国家財政を苦しめている元凶は社会保障費で、約100兆円の新年度予算案の実に3分の1を占める。公共事業費は5兆円程度に過ぎない。

公共事業が「バラまき」と揶揄されるのは、政府がきちんとした将来ビジョンを示せていないことにも原因がある。しかし、労働生産人口が減少している日本にあって、シルバー世代がいつまでも働ける環境づくりなど、ハード面からの社会福祉政策である公共事業を、いつまでも政局の具に使ってはならない。(豊)

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2011年12月号記事 アメリカにならい日本も都市インフラの拡大を

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